ソフトバンク田上秀則捕手(29)が、契約交渉で越年を辞さない構えを見せた。15日、福岡ヤフードーム内で1度目の交渉。今季年俸2650万円から2150万円増の4800万円を提示されたが、不服として保留した。希望額とは1500万円以上開きがある模様で、16日に2度目交渉が設定されたものの、難航は必至。田上は年内決着に「こだわらない」と徹底抗戦の姿勢を強調した。(金額は推定)

 田上にしてみれば、反撃する気力さえ起きなかったのだろう。40分かけた交渉で査定説明の聞き役に徹した。球団の提示は4800万円。田上の最低ラインとみられる6500万円どころか、倍増5300万円にも遠く及ばない。結果は当然、決裂だ。交渉後、失望感を漂わせた。

 田上

 (希望額には)はるか、かなた。(提示額は)まったく想像していなかったもの。査定には納得している。査定での数字はみんな平等。ただ、評価されているのかな、と思う。

 プロ8年目で花を咲かせた。正捕手に定着。シーズン自己最多の138試合出場。打率は2割5分1厘だが、チームトップの26本塁打を放った。80打点も小久保(81打点)に次ぐ数字。捕手20発&80打点のダブルクリアは04年城島以来。ベストナインにも輝いた。「50、60歳まで、できる仕事ではない。頑張ったときくらい自分の言いたいことを言わないと」。05年オフ、中日から戦力外通告を受けた男は言葉に力を込めた。

 城島クラスの評価にも届かなかった。城島が正捕手定着した97年のオフ。年俸1300万円から3000万円増の大幅昇給を勝ち取った。田上は過去のケースや他球団捕手の更改について「いろいろと参考にしている」と話すだけに、今回の球団提示は屈辱的と映っても仕方ない。

 2度目交渉は、16日に設定された。田上のスケジュールが詰まっており、下旬には大阪に帰省予定。決着がつかなければ、越年は濃厚だ。それでも鷹の正妻は言い切った。「(年内決着に)こだわりません。納得できるまで、やります」。ただ、一夜挟んだところで球団側の提示大幅変更は考えにくい。角田球団代表は「彼の言い分もあるだろう。プラス材料があるのであれば、加算して考えるが、ただ、指標は無視するわけにはいかない」。上積みの可能性を示したが、8月下旬に2割7分5厘あった打率をキープできなかったことや、盗塁阻止率2割6分2厘がマイナス面として挙がっており、田上の希望額に到達することは厳しい状況だ。

 「今日は何も言わなかった。明日言うことは今から考えます」(田上)。打者ではトップクラスの査定を受ける男の交渉が、長期化する気配だ。【松井周治】