西武中島裕之内野手(27)が22日、3時間のロング交渉の末、保留した。西武ドーム内で2度目の契約更改交渉を行ったが、今季2億1000万円から、提示額は前回と同じ2億5000万円。細かい査定方法の説明を求めたが、納得いく答えを得られなかった。また初交渉に臨んだGG佐藤は開始20分で保留。現時点で保留者5人と、昨季日本一チームが大荒れオフの様相を呈してきた。

 午後6時から交渉が始まり、中島が会見場に現れたのは同9時30分を回っていた。「今日も長いこと話してますけど、保留してます。上げてもらった方が(ハンコを)押しやすいんですけどね」と、いたずらっぽく笑った。約3時間に及んだ交渉後とは思えない終始穏やかな表情だったが、1回目の交渉から前進したと思わせる言葉はなかった。

 球団提示は、前回と変わらず4000万円アップの2億5000万円。上積みがなかったことで、球団には査定方法の細かい部分まで説明を求めた。疑問があれば質問し、持参したノートにペンを走らせた。「時計がなくて時間がどんどん過ぎていた」。気が付けば、休憩もはさまず3時間が経過したが「義務値という部分が納得できなかった」と振り返った。

 聞き慣れない“義務値”について、前田球団本部長は「年俸が高くなれば、要求も高くなる。この年俸なら、これぐらいの成績を残してほしいという数値を、年俸や選手によって設定しています」と説明した。今季の中島は最高出塁率と最多安打のタイトルを獲得し、2年連続で「3割、20本、20盗塁」をマーク。リーグで唯一フルイニング出場も果たしたが、設定していた“義務値”の基準が高いため、前回から年俸ベースの見直しはなかった。

 西武では、これで保留者が5人となった。そのうち中島、片岡、涌井はタイトルを獲得し、WBC世界一にも貢献した共通点がある。個人成績を主張するが、4位に終わったチーム成績をもとに査定する球団とは平行線の状態が続く。06年オフに、越年して決着まで5度の交渉をもった中島は「自分の中では一番良かったと思う年だった。妥協することなく話したいと思っています」。新選手会長として、後に続く選手のためにも1歩も退かない構えを見せた。【柴田猛夫】