WBCキューバ代表が26日、ほっともっと神戸で全体練習を行った。昨年11月の親善試合から11人を入れ替え、真の実力がベールに包まれる中、ビクトル・メサ監督(53)は「キレキレ」の熱血指導。到着直後は関係者に「寒い」と漏らし、不機嫌モードだったが、練習中は誰よりも声を張り上げ、グラウンド中を駆け回って、闘魂を注入した。

 練習初日の穏やかさはなかった。冷え込む中でも、指揮官は熱かった。ジェスチャーを交え、選手に指示を送る。言葉だけでは足らず、自らバットを握って、打撃の手本を示した。ウオーミングアップ、打撃練習、ノックなど、約2時間行われた全体練習。そこには、「アマチュア最強チーム」の秘密があった。

 内野のグラウンド。遊撃手の定位置、二塁手の定位置、二塁ベース上の3カ所に赤いコーンが置かれた。右打者なら、二塁ベース上と二塁手の定位置に置かれたコーンの間を、左打者なら、その逆方向。パワーで圧倒するイメージが先行するが、打撃練習のテーマは、逆方向中心の「スモールベースボール」だった。

 メサ監督は「いつもやっていること。うちは若い選手が多く、練習でホームランを打ちたがる。それでは、試合で外角の球を投げられたら、打てなくなるだろう」と説明。「我々の国民は、負けるってことを知らない。11月は準備できていなかったけど、米国まで勝っていく。実現できなければ、ひどい状況になるだろう」と不敵に笑った。【久保賢吾】