二刀流なしで世界へ挑む。侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)は3日、3月7日に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表メンバーから日本ハム大谷翔平投手(22)を外すことを明言した。右足首を痛めた大谷は1日、投手としての出場を断念。この日、日本ハム側から送られたメディカルリポートの内容を受けて両者が電話で話し合い、野手としての出場も見送ることが決まった。苦渋の決断を力に変える。

 小久保監督が苦渋の決断をした。投打の軸である大谷を侍ジャパンから外す。宮崎・南郷の西武キャンプを視察後、報道陣に事情を説明した。

 「彼本人とも話をして『28名の登録からは外す』と伝えました。自分が思っていた以上に、状態が上がってこなかったことが現実。100%で動けなかった選手を預かるのは難しい」

 同監督によれば、大谷は「WBCに向けてやってきたので。力になれず、申し訳ありません」と話したという。

 右足首の状態が悪く、1日に投手としての出場を断念した。日本ハム側と侍ジャパン側で情報共有の行き違いがあり、正確な状態を確認した上で結論を出すことになった。米アリゾナ州ピオリアでキャンプ中の日本ハムは日本時間3日の早朝、右足首の状態について日本野球機構(NPB)へメディカルリポートを送った。

 これまでの病院での検査結果やエックス線画像、昨秋の侍ジャパン強化試合以降の経過など、分かりやすい形で報告した。島田球団代表は「ドクターが見ても分かる資料を送りました。我々の方でも、資料を送った方がいいのではないかという話をしていた時に、昨日NPBの事務局からも『早急に知りたいので、送ってもらえますか』と連絡を受け、すぐに取りかかった」と説明した。現状を正確に把握した上で野手としての出場も難しいと判断。電話での話し合いに至った。

 小久保監督は「ファンの皆さんも期待され、楽しみな選手だったと思う」と残念がり、すぐに切り替えた。「中心では考えていた。ただ、前に進むしかない。大谷が招集されなくなった分、チームの結束が高まるのを期待する。そういう気持ちで試合に入りたい」。大谷不在を乗り越え、世界一の奪還に向かう。