辰吉寿以輝(19=大阪帝拳)が、どつき合いを卒業した。2勝1敗の脇田洸一(25=クラトキ)と対戦。ガードを上げて冷静に試合を展開。最終の4回に強烈な左フックをさく裂させて相手をKO寸前まで追い込んだ。終了のゴングでKOを逃して渋い顔を見せたが、3-0の判定勝ち。デビューイヤーを、3連勝で締めくくった。

 相手をロープに吹っ飛ばした。最終4回のラスト10秒。強烈な左を食らわせラッシュも、終了のゴングでKOを逃した。「全然だめ。倒したかった」。3戦連続KOを逃し笑顔なし。来春の次戦へ「4戦目は化け物になります」と言った。

 どつき合いを卒業した。相手の動きを見てパンチを打ち込む。3回に右2発を浴びた以外は被弾なし。「前ほどカッとならなかった」。2、4回にKOチャンスもつくった。父丈一郎は「無理に倒しにいこうとしてない。判定もボクシングの勝ちは勝ち。いい経験ちゃうかな」と口にした。

 ただ厳しい指摘もあった。父は「左ジャブがない」とピシャリ。寿以輝は、力を込めた左ストレートは打つが、相手を誘う左ジャブが少ない。幼少期から父に「左を制すものは世界を制す」と教えられただけに「もっと左をつきたい」。

 4月にデビューして3連勝。今年1年を「早」の漢字で表現した。「デビューしてからあっという間。なんか本当に早かった。来年もいい年にしたい」。正月休みに自動車の免許を取得するつもりの19歳が来年はさらに成長する。【益田一弘】