読者が選ぶ「日刊バトル大賞」の格闘技部門MVPは、今年6月に引退したエメリヤーエンコ・ヒョードル(36=ロシア)が受賞した。格闘技界に大きな足跡を残した男に、ファンが敬意を表しての選出だ。

 柔道から総合格闘技に転向して00年5月にリングス・ロシアでマルティン・ラザロフに一本勝ちデビュー。それから10年6月にストライクフォースでファブリシオ・ヴェウドゥムに一本負けするまで、負傷判定以外は10年以上負けなし。全盛期のPRIDEで活躍して「人類最強」「60億分の1の男」と呼ばれた。

 スタイルでも魅了した。柔道、サンボをバックボーンにした組み技の強さに加え、打撃でも天性のスピードと強さを見せた。特に03年は6月にPRIDEで藤田和之を1回4分17秒に裸絞めで撃破、大みそかの猪木祭りでは永田裕志にパンチ連打で1回1分2秒にTKO勝ち。プロレス界最高峰の元IWGP王者2人に圧勝したことで、日本の格闘技は全盛期を迎えた。日本では昨年の大みそかの「元気ですか!!

 大晦日!!

 2011」(さいたまスーパーアリーナ)で、石井慧に1回2分34秒、KO勝ちが最後の雄姿となった。

 ラストマッチとなった今年6月21日のペドロ・ヒーゾ戦は、リングサイドでプーチン大統領も見守った。パウンド連打で1回1分24秒にTKO勝ちするとヒョードルは「ついにその時が来た。このスポーツから引退する」。リングから去っても、その強さは永遠に語り継がれる。【小谷野俊哉】

 ◆エメリヤーエンコ・ヒョードル

 1976年9月28日、ロシア出身。柔道家から総合格闘技に転向。00年リングスでヘビー級、無差別級王者。02年6月PRIDE参戦、03年同ヘビー級王者。04年同級GP制覇。08年アフリクションに参戦、WAMMA王者。09年11月ストライクフォース参戦。今年6月21日、M-1グローバルでペドロ・ヒーゾにTKO勝ち後、引退表明。戦績は35勝4敗1無効試合。182センチ、106キロ。<格闘技部門MVP>

 (1)ヒョードル、21%

 (2)アンデウソン・シウバ、18%

 (3)五味隆典、17%

 (4)J・ドス・サントス、16%

 (5)B・ヘンダーソン、10%

 (6)G・サンピエール、8%

 (7)J・ジョーンズ、7%

 

 その他、3%※順位、選手名、得票率の順。