WBA世界フライ級1位の亀田興毅(21)が、メキシコで海外デビューする可能性が急浮上した。WBAとWBCの世界スーパーフライ級王座統一戦(17日、メキシコ・ドゥランゴ州)のアンダーカードでの出場オファーを受けたことが5日、分かった。7日に協栄ジムからの離脱が正式に決まれば、亀田サイドは本格的な交渉を開始する。王座統一戦の大舞台での出場が実現すれば、目標の世界進出への大きな1歩になる。

 夢の世界進出へ、亀田に絶好のチャンスがめぐってきた。舞台は17日に行われるWBA王者ムニョス(ベネズエラ)とWBC王者ミハレス(メキシコ)の世界スーパーフライ級王座統一戦。その世界注目のビッグマッチのアンダーカードへの出場オファーを受けた。

 ライトフライ級に続き、今年はフライ級で2階級制覇を狙っている。成功すれば来年以降はスーパーフライ級に上げて3階級制覇を目指す。「ボクシングの本場」といわれWBCの本部のあるメキシコで、しかも標的となるスーパーフライ級の統一戦の前座で、実力を証明できれば、世界へ最高のアピールにもなる。

 きっかけは3月の再起戦を控えた2月のメキシコ合宿だった。6度目の防衛戦を前にしたミハレスと20ラウンド以上もスパーリングをした。ともに試合直前で白熱した打ち合いになり、練習後はお互いの力を認め合って意気投合した。それが今回のオファーにつながった。

 あくまで現時点では協栄ジム所属のため、亀田陣営独断でオファーを受けることはできない。ただ金平桂一郎会長は7日にも、都内の日本ボクシングコミッション(JBC)を訪れ、長男興毅、次男大毅(19)の契約解除の文書を提出する。協栄ジムからの正式な離脱が決定次第、メキシコでの試合出場交渉を始めることになりそうだ。

 日本ではジムに所属していなければリングに立てないが、海外では現地のコミッション、プロモーターの許可が得られれば試合可能。ボクサーにとって試合ができないことは引退の危機にもつながる。協栄ジム離脱後の所属先が不透明な状態での海外オファーは、亀田にとって、最高の助け舟でもあった。

 メキシコでの試合まであと10日しかない。調整期間は極めて短いが、亀田は3月のフローレス戦で大差判定勝利を収めた後、KOを逃して「納得いかへん」と早期の試合を望んでいた。日ごろから節制を心掛けているだけに短期間での体重調整も大きなハンディにはならない。

 今後はWBC世界フライ級王者内藤大助(宮田)戦はもちろん、協栄ジムを離れることで、同門のWBA王者坂田健史(協栄)への挑戦も可能になる。さらにメキシコで実力をアピールできれば、海外でもビッグマッチの道が開けてきそうだ。