大相撲春場所(8日初日、大阪・ボディメーカーコロシアム)の取組編成会議が6日に行われ、東西の前頭12枚目琴勇輝(23=佐渡ケ嶽)と千代鳳(22=九重)の対戦が初日に組まれた。2人とも仕切り前に「ホゥッ」「ホッ」の発声で気合を入れるが、2月24日の力士会で横綱白鵬から「やめろ」と物言いをつけられた。ファンにも広く浸透している所作だが、両力士はやるのか、やらないのか。

 渦中の2人が初日で顔を合わせることになった。相手を知らされた琴勇輝は「そうですか!」と驚き、千代鳳は「誰が相手でも、やることは同じ」と冷静だった。「ホゥッ!」「ホッ!」のせき払いがトレード。白鵬から「犬じゃないんだから、ほえるな!」と異例の“物言い”をつけられてから10日がたち、両者の答えにズレが生じた。

 千代鳳は、うつむき加減に「ホッ!」の封印を宣言した。「親方からもずっと言われているので、やらないつもりです」。小結だった昨年夏場所後、師匠の九重親方(元横綱千代の富士)から「みっともない!」と叱責(しっせき)されており、「他に気合を入れる方法を探します。ダメなら実力不足」。新たな習慣を求めることにした。

 一方、琴勇輝は結論を決めかねる。力士会の翌日から「続けたい気持ちはある」と話しており「まだ考え中。明日もう1日、時間があるので」。ただ「気合を入れる1つの動作。序二段からやっているので」と簡単にはあきらめきれない。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)も「誰も気にしていないでしょうから」と容認の構え。こちらは信念を貫き「ホゥッ!」続行に踏み切る可能性がある。

 初場所では2人の競演もあり、国技館は大いに沸いた。ファンからは続行を望む声も多いが、答えは初日の土俵まで待つしかない。【桑原亮】