AKB48の41枚目シングル(8月発売予定)の選抜メンバーを決める第7回選抜総選挙の開票イベントが開催され、HKT48の指原莉乃(22)が、2年ぶりに女王の座を奪回した。3年連続での速報1位を今年は、HKT48の本拠地・福岡で守りきった。獲得票数は同選挙史上最高の19万4049票。

 泣き腫らし張り詰めていた顔が一瞬ではじけた。2位発表で1位が確定するとHKT48の仲間に抱きつかれ、歓喜の輪に包まれた。あらためて1位で名を呼ばれると、両手で顔を覆ってむせび泣いた。

 「こんなにすてきな景色を、もう1度見ることができるとは…。自信があると言ってきましたが、昨日の夜に1人になった時『1位じゃなかったらワイドショーにどうやったら取り上げてもらえるか』とか考えちゃってました」。笑わせようともしたが、気持ちが高ぶり声が上ずった。

 悲しいかな、自分の立場は一番分かっている。先輩の卒業生前田敦子(23)大島優子(26)らと比べて、コンプレックスだらけだった。「私はブスで貧乳でいいところが本当に少ないです。2年前は開き直ったら1位になれたけど、あれはスキャンダルからの大逆転とかAKBの(再生)ストーリーに支えられての1位だと、思っていました」。

 指原が、自分のファンだけが読める有料メールに「どうしても1位を奪回したいので無理してください」と、初めて貪欲さを打ち明けていたのは、一過性のブームではなく、個人の評価で堂々と女王になりたかったからだった。

 圧勝で初めて胸を張れた。赤いガウンを羽織り、力強いまなざしで叫んだ。「全国の自分に自信のない、私のようにいじめられて引きこもりになってる皆さん、日の当たらない皆さん、私はもう1度1位になることができました。落ちこぼれの私の1位を自信に変えてください!」。かつて羨望(せんぼう)した先輩センターたちでも言えない、自分だけが言えるメッセージを発信した。ファンとの結束力が生んだ1位奪還だった。

 2年前のセンター曲「恋するフォーチュンクッキー」では、全国にダンスブームを巻き起こした。マルチな才能と機転の良さを備える指原ならば、AKBの存在感を、再び社会に刺さらせることができる。最後は全メンバーに向かって「これから、もっともっと、もっともっと、最強の、決して落ちぶれているわけじゃないAKBを作っていきましょう!!」と呼び掛けた。最も頼りになる女傑が、ど真ん中のゼロポジションに帰ってきた。【瀬津真也】