7月に胃がんのため死去した俳優山田辰夫さん(享年53)をしのぶ「山田辰夫君を送る会」が12日、都内のホテルで開かれた。

 富山県立高岡商時代の同級生で、米アカデミー賞受賞作「おくりびと」にも起用した滝田洋二郎監督をはじめ、俳優仲間の中井貴一、岸部一徳、吉川晃司や、遺作となった映画「沈まぬ太陽」の若松節朗監督や阪本順治監督ら映画関係者ら約300人が出席した。

 発起人を代表してあいさつに立った滝田監督は高校時代からのエピソードを紹介。「これからおれたちの世代の映画をたくさんつくっていこうと思っていたのに。もっと一緒に仕事をしたかった。本当に悔しい気持ちでいっぱい」と唇をかみしめていた。

 滝田監督から「辰夫がもう長くない」と連絡を受けて入院先に足を運んだ中井によると、山田さんは「おれはもう俳優をあきらめたんだ。それなのに両親より先に逝かなければならないのか」と悔しそうな表情を浮かべていた話を紹介し、出席者の涙を誘っていた。