中谷美紀(32)藤竜也(67)が主演する映画「しあわせのかおり」(三原光尋監督)がフランス国内40館で公開されることが11日、分かった。この日、日本で初日を迎えたが、公開館数は19館。フランスでは日本の公開館数の2倍以上の高い評価を受けたことになる。

 フランスで日本映画への注目度は比較的高い。原作が有名だったり、カンヌ、ベネチア映画祭で公式上映、または入賞した監督作品に注目が集まる傾向がある。過去に北野武監督、宮崎駿監督のジブリ作品、河瀬直美監督、黒沢清監督作品などが公開。フランス国内で公開された日本映画としては、北野監督作品の100館前後が最大級。ほか、原作が世界的に有名な「20世紀少年」が100館規模での公開を予定している。

 「しあわせのかおり」は今年のカンヌ映画祭のフィルムマーケットに出品されたが、欧州では三原監督の知名度はほとんどない。配給を決めたフランスの映画会社では「ストーリーがシンプルで分かりやすいし、フランスでは食文化に関心が強いから興味を引きやすい。さらに藤竜也さんが『愛のコリーダ』に出ていたから」と説明しているという。内容だけで40館もの公開が決まるのは異例だ。

 映画は金沢の港町にある小さな中華料理店を舞台に、閉店を決意した店主(藤)に弟子入りする若い女性(中谷)の挫折と成長を描いたヒューマンドラマ。この日、東京・シネスイッチ銀座で初日舞台あいさつを行った三原監督は「ご縁があれば中国とかで公開されるかもしれないと思ったが、まさかフランスでとは。ビックリしました」。劇中では中華料理を作るシーンも満載。美食の国のお眼鏡にかなった作品は来年1月にも公開予定だ。