事件当時、夫婦愛なのか罪なのかが問われた実話が映画化され、三浦友和(57)と石田ゆり子(39)が主人公の夫婦を演じることが13日、分かった。末期がんの妻と9カ月に及ぶ車上生活を送って死なせたとして逮捕された男性がつづった手記「死にゆく妻との旅路」の映画化。撮影は北陸を起点に、2人が旅した足跡をたどりながら関西、山陰、山陽、中部各地方で行う。塙幸成監督がメガホンをとり来年公開予定。

 99年12月、初老男性が石川県警に逮捕された。容疑は保護責任者遺棄致死。乗っていたワゴン車の後部座席に妻の遺体があった。実兄に葬儀を頼むため石川県内の実家に立ち寄り、そこで逮捕された。病気の妻を必要な治療を受けさせず、富山・氷見漁港の防波堤に止めた車内で死なせた疑いだった。ところが事件の裏には、夫婦の深い愛ときずながあった。

 映画は、起訴猶予となった夫の清水久典さん(62)が9カ月に及ぶ夫婦の車上生活をつづった手記「死にゆく妻との旅路」(新潮文庫)が題材。中高年読者を中心に涙を誘い、15万部のロングセラーとなった。

 清水さんは事件前、経営していた会社が倒産、多額の借金を背負った。追い打ちをかけるように妻ひとみさん(享年41)が末期の大腸がんと判明。働き口を探そうと家を出る夫に妻は「一緒にいたい」と懇願。告知できないまま、妻をワゴン車に乗せて旅に出た。所持金50万円。何度か入院させようとしたが妻は「離れるのは嫌」と拒んだ。京都、広島、鳥取、愛知、長野、山形、宮城と転々とする旅は目的のない逃避行に変わるが、2人の心の距離はそれまでになかったほど縮まり、愛情を深め合った。

 夫役の三浦は「すぐに感情移入できた」と題材に強くひかれて出演を決意。脚本について何度も意見交換を交わした上で「2人の選んだ道が良いのか悪いのかではなく、こういう夫婦の生き方もあるんだと伝えられればと思います」。現実には悲劇だが「温かい映画にしたい」という。

 妻役の石田は脚本を読んで「涙が止まらなかった。(妻の)深い愛情、いじらしさ、人としての強さに感動しました」。撮影は旅の足跡に沿って全国を移動しながら今月いっぱいと来年1月に2度に分けて行う。