小泉純一郎元首相(67)が、映画「大怪獣バトル

 ウルトラ銀河伝説」(坂本浩一監督、12月12日公開)に、ウルトラ一族の長老ウルトラマンキングで声優デビューすることが12日、分かった。小泉氏は当初、断る予定だったが、衆院議員の次男進次郎氏(28)の勧めや、俳優で長男孝太郎(31)とも一緒に見た思い出のシリーズということで出演を決めた。「小泉兄弟」の後押しで、親子のきずなを感じた小泉氏は「これは親子3代で楽しめる。私も見てみたい」と話している。

 ウルトラマンキングは、シリーズを通して登場回数は少なく、故郷M78星雲光の国でもあまり姿を見せなかった。一族にとっては、遠くにいても必ず守ってくれる長老、伝説のような存在だ。新作はM78星雲が舞台で、悪役ウルトラマンベリアルとの壮絶な戦いが描かれるため、長老が登場することになった。製作の円谷プロダクションでは「ウルトラマンキングの重みを表現できるのは、かつて国を背負った小泉氏だと判断し打診した」と話した。

 小泉氏は総選挙後に製作側からの手紙を読み、子供たちと一緒に見たウルトラマンシリーズへの出演オファーに感激。しかし政界引退後は、議員時代に関心を深めた環境問題を社会に提言する準備に忙しく、秘書に断るように指示した。

 しかし、その場にいた進次郎氏に「出てほしいな。子供のころ好きだったんだ。政治に関係ないから出てもいいじゃない。声だけで顔が出ないからね」と勧められた。孝太郎もウルトラマンが好きだったということもあって、前向きになった。台本を読ませてほしいと円谷プロダクションに自分で連絡し、最終確認。「あぁ、これはせりふが少なくていいなと思いました」と、出演を決めたのがいかにも小泉氏らしい。

 9月中旬に都内で行われたアフレコは、小泉氏いわく「ほどよい練習でできた」とか。「ウルトラの戦士たちよ!

 新たに立ち上がろう、光の国の勇士たちよ。平和と正義のために!

 はるかなる全宇宙のために!」と力強く呼び掛けるせりふは、首相時代の演説のように地のままでできたようだ。

 作品にも満足しており「やっぱりウルトラマンは親子3代で楽しめる。そんな人たちのあこがれや希望に少しでも近づける声はどういうものか配慮しながら演じた」と話している。息子たちに押されて出演したウルトラマンで、久々の小泉劇場がよみがえった。