女優島田陽子(56)が、映画「東京レストラン」(公開日未定)で15年ぶりに映画主演することが13日、分かった。島田の映画主演は95年「ゴト師株式会社スペシャル」以来。内戦の続くレバノン・ベイルートで、逃げずに日本料理店を経営し続けた日本人女性ヴァン・つゆさんの生涯を描く作品で、島田がつゆさんを演じる。

 つゆさんは、ロシア系の夫とともに70年ごろ、「東京レストラン」を開店した。店に世界中のビジネスマンから日本の過激派などが出入り。カツ丼などが名物で「ベイルートの肝っ玉母さん」として親しまれた。

 島田は「ヴァン・つゆさんは現在、80歳を超えてますが、ロンドンでご健在です。昨年、会いに行きました。現在、脚本を製作中。今春にもロンドンで最終的な詰めをして、撮影に入ります」と話した。

 島田が新たな映画への出演を決めたのは、3年前に長野・軽井沢に転居したのがきっかけだった。「軽井沢が大好きだった父が、4年前に亡くなったんです。その思いをかなえるためと、今年80歳になる母の介護のために、空気のいい軽井沢に思い切って家を建て転居しました。(テレビ制作会社に勤める)夫は定期券を買って、普段は新幹線通勤をしています。東京まで1時間ですからね」。

 軽井沢で母親の介護、地元ラジオ局の仕事をこなすうちに、女優としての新たな意欲がわき起こった。「私自身も、体を壊していたのですが、きれいな空気の中で暮らすうちに元気になりました。それで、前から興味を持っていた企画を、自分の主演で撮ってみようと思いました。軽井沢在住の実業家に接触したとかネットで書かれましたが、私自身が直接お金を集めるようなことはしていません」。

 81年に米ドラマ「将軍SHOGUN」でゴールデングローブ賞を受賞。“国際女優”と呼ばれた。「国際女優って、いや。もう30年前だし、やぼったいでしょ(笑い)。肩書だけが独り歩きして、ストレスも感じました。私は1人の女優として、たまたま海外の仕事をやっただけ」。軽井沢、東京、ベイルート、ロンドン…場所も、国籍もこだわらない、新たな女優像を目指している。