公開中の米映画「インディペンデンス・ディ リサージェンス」のヒロイン、マイカ・モンロー(23)をインタビューする機会があった。

 「-リサージェンス」は大ヒット作の20年ぶりの続編。前作公開時は3歳というから、歴史上の名作に関わったという高揚感もあったのだろう。「10歳のときに父とビデオで見て、感動したのを覚えています。オーディションに受かったときは胸がバクバクしました」と屈託がない。

 その高鳴りもあって気持ちも体も前に出る。質問1つ1つに集中し、顔を突き出すように話す。欧米の若手女優に時折見受けられるこの「グイグイ感」は、日本の女優さんにはないものだ。

 エイリアンと対決する空軍パイロットという設定にふさわしい引き締まった体。襟ぐりの深いトップスからは形の良い胸元がのぞく。こちらの目をじっと見ながら話すので、どうしてもそちらに泳いでしまう視線に気付かれないようにするのに苦労した。

 長く薫陶を受けた先輩女性記者の「バカだねえ」という声が聞こえてくるような気もするが、このグイグイ感は、戸惑いながらもどこかうれしいものだ。言葉の壁を越えて極東の一大マーケットにアピールしようという気持ちもあるのだろう。単独取材は「近接遭遇」の機会でもある。

 そんな「役得」の最たるものとして思い出すのは、90年代初めに来日したドイツ出身のスーパーモデル、クローディア・シーファーの車中インタビューだ。

 シンディ・クロフォードに続く世界のトップモデルとして注目され始めた頃だった。移動中しか時間が取れないということでリムジンの後部席に並んで座ることになった。

 横を向いて取材を始めると、切れ長の目は意外なほど白目の面積が広い。お気に入りのピンアップから抜き出したような形の良い唇が約30センチのところにある。カーブの度にミニスカートの太ももがグッと押しつけられる。きりっと締まった脚は意外と柔らかかった。当時30代だったこともあり、話の内容に集中するにはかなりの精神力を要したことを覚えている。

 ハリウッドの若手女優では、昨年来日した「スター・ウォーズ フォースの覚醒」のデイジー・リドリー(24)も真意を伝えようとグイグイくるタイプだった。膝つき合わせるような取材で、コーヒーの香りのする息を覚えている。撮影前に行った3カ月間の集中エクササイズで整えたアスリート的な体形と、軽やかな身のこなしが印象的だった。英国出身の彼女にはどこかストイックな匂いもあり、劇中でもそれが生かされていた。

 モンローに話を戻すと、彼女の場合は同じアスリートでも、自然味、野性味が加わる。サーフィンとパラセーリングを組み合わせたカイト・ボーディングのプロ選手でもあるのだ。09年から国際大会に出場。世界2位になったこともある。

 「私の場合、映画出演が決まると、契約書でもそのことにふれなければいけないんです。準備中、撮影中にはカイト・ボーディングはいっさいいたしません、と。映画には日焼けもケガも禁物ですからね。でもやめられませんねえ。撮影が終わるとまた始めちゃうんですよ」

 文字どおりの「カリフォルニア・ガール」である。撮影終了からしばらく時間がたったからだろう。腕と脚はうっすらと小麦色になっていた。

 「近距離」からは個性の違いもよく見える。【相原斎】