ハリウッドを訪れたなら必ず目にするのが、ハリウッドの大通りの歩道に刻まれた星形のプレート。ウォーク・オブ・フェームと呼ばれ、中心地から5キロほどの間の歩道に、映画、テレビ、音楽、ラジオ、舞台の5つの分野で活躍した人物の名前が刻まれています。1959年にハリウッドの商工会議所が設立したもので、現在は2500を超える星が埋め込まれています。そんなウォーク・オブ・フェームに先日、ハリウッドでも高い評価を受け「世界のミフネ」と呼ばれた三船敏郎さんが仲間入りを果たし、記念式典が行われました。

 来年没後20年を迎える三船さんの役者人生をたたえて2594番目となる栄光が贈られ、孫でプロデューサーの三船力也さんを始め、日米の映画関係者らが式典に参列しました。日本人としては「戦場にかける橋」(1957年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど半世紀以上にわたってハリウッドで活躍した早川雪洲、「砲艦サンパブロ」(66年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマコ岩松に続く3人目の快挙です。黒沢明監督の「羅生門」(50年)や「七人の侍」(54年)で国際的スターとなった三船さんは、61年に「用心棒」、65年には「赤ひげ」でベネチア国際映画祭の主演男優賞を受賞。ジョージ・ルーカス監督が「スター・ウォーズ・エピソード4/新たなる希望」でオビ=ワン・ケノービ役をオファーしたほか、「グラン・プリ」(66年)や「ミッドウェイ」(76年)、スティーブン・スピルバーグ監督の「1941」(79年)など米映画にも多数出演しており、ハリウッドでも絶大な知名度があり、昨年6月にハリウッド商工会議所が殿堂入りする人物を発表した際には「世界で最も知られた日本人俳優」として紹介されていました。式典には俳優マーティン・ランドーや来年日本公開予定のドキュメンタリー映画「ミフネ・ザ・ラスト・サムライ」でメガホンをとったスティーブン・オカザキ監督らも駆けつけ、力也さんは「祖父が他界して来年で20年になるが、今もこうして高く評価されていることを知り、光栄です。私が9歳の時に祖父は亡くなりましたが、自宅でも本物の侍のような立ち振る舞いをしていたことを覚えています。これからも祖父のレガシーを引き継いでいくことが私の義務だと思っています」とあいさつをしました。

 ウォーク・オブ・フェームは人間以外にもミッキーマウスやドナルドダック、バッグス・バニーなどのキャラクターや名犬ラッシーなどの名前も刻まれており、あの日本を代表するキャラクター「ゴジラ」の名前もあります。ハリウッド商工会議所は毎年6月に翌年に殿堂入りする二十数名の名前を発表しており、殿堂入り式典は一般のファンも見学することができます。そんなウォーク・オブ・フェームには、次期大統領のドナルド・トランプ氏の名前も刻まれていますが、大統領選キャンペーン期間中にハンマーやオノでたたき割られて壊される事件が起きています。三船さんの星形プレートは、エルキャピタン劇場の前にあるので、ハリウッドを訪れた際にはぜひ名前を探してみて下さい。