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ハリウッド直送便

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◆千歳香奈子(ちとせ・かなこ) 1972年札幌生まれ。92年に渡米。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月からロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。

賞レースシーズン突入 今年の作品の傾向は…

[2013年11月5日11時10分]

 ハリウッドは今年も賞レースシーズンに突入しました。近年は、実在の人物や実際に起きた出来事を映画化した作品が賞レースに絡むことが多いですが、今年は思いのほか実話を基にした作品が多いような気がしています。

 すでに賞シーズンに入ってから公開されているだけでも、ナオミ・ワッツが故ダイアナ妃を演じた「ダイアナ」、実際に起きたソマリア海域人質事件を題材にしたトム・ハンクス主演の「キャプテン・フィリップ」、ベネディクト・カンバーバッチがウィキリークス創設者ジュリアン・アサジンを演じた「ザ・フィフス・ステイト」、F1史上最も衝撃的でドラマティックな事件と言われたジェームズ・ハントとニキ・ラウダの命がけで競ったレースを基にした「ラッシュ プライドと友情」、ダニエル・ラドクリフが詩人アレン・ギンズバーグを演じた「キル・ユア・ダーリン」、黒人奴隷が生存と自由のために戦った実話「12イヤーズ・ア・スレーブ」、マシュー・マコノヒーが実在のHIV陽性患者を演じた「ダラス・バイヤーズクラブ」……。ざっと思いつくだけでもこんなにあります。

 少し前には、アップル創設者スティーブ・ジョブズの光と闇を描いた「ジョブズ」、史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの半生を描いた「42〜世界を変えた男」などもありました。そしてこれから年末にかけても、レオナルド・ディカプリオが20代で億万長者になった伝説の株ブローカーを演じる「ザ・ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」、アメリカで起きた収賄事件アブスキャムを基にした「アメリカン・ハッスル」、ハンクスがウォルト・ディズニーに扮する「ウォルト・ディズニーの約束」なども公開を控えています。

 これだけ実話を基にした作品があり、実在の人物を演じる俳優が多いと「そっくりさん大会」になってしまいそうですが、近年のアカデミー賞では実在の人物を演じた俳優がオスカーを受賞することが多くなっています。今年は「リンカーン」で米第16代大統領エイブラハム・リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイスが、昨年は「マーガレット・サッチャー鉄の女の涙」でマーガレット・サッチャー元英首相を演じたメリル・ストリープが受賞しています。さらに、10年度は「英国王のスピーチ」で吃音に悩まされた英国の王ジョージ6世を演じたコリン・ファースが、07年も「クィーン」でエリザベス女王を演じたヘレン・ミレンと「ラスト・キング・オブ・スコットランド」でアミン大統領を演じたフォレスト・ウィテカーが共にオスカーに輝いています。

 そこで気になるのは、今年の賞レースの行方。早くも主演男優賞の有力候補には、ディカプリオ、マコノヒー、ハンクスら上記映画で実在人物を演じた俳優の名前が多数あがっています。主演女優賞にもワッツ、「アメリカン・ハッスル」のエイミー・アダムス、「ウォルト・ディズニーの約束」のエマ・トンプソンが有力候補と言われ、またディズニーを演じたハンクスも助演男優賞候補に名を連ねています。

 誰もが知っている人物を演じることは大きなプレッシャーに違いありませんが、その重圧を乗り越えて本人と瓜二つになるほど素晴らしい演技を見せる俳優たちは、称賛に値するということなのでしょう。さて、来年は誰の手にオスカーが輝くのでしょう。今年残り2カ月弱、ハリウッドはまだまだ熱い賞レースを続けていきます。

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