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ハリウッド直送便

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◆千歳香奈子(ちとせ・かなこ) 1972年札幌生まれ。92年に渡米。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月からロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。

「LA EigaFest」日本映画の発展につながれば

[2013年12月10日11時47分]

「LA EigaFest」で舞台挨拶を行った渡辺謙
「LA EigaFest」で舞台挨拶を行った渡辺謙

 ハリウッドで日本映画に特化した映画祭「LA EigaFest」が6日から3日間に渡って開催され、渡辺謙主演でクリント・イーストウッド監督・主演の米アカデミー賞作品賞受賞作をリメークした「許されざる者」(李相日監督)が、オープニング上映され、大勢の人で賑わいました。この日行われたレッドカーペットには渡辺と李監督も駆けつけた他、オリバー・ストーン監督や、ダスティン・ホフマン主演の「卒業」(67年)のプロデューサー、ローレンス・ターマン氏をはじめ、米国で活躍する日本人俳優ら多くのセレブが出席。上映前には舞台挨拶が行われ、「西部劇の文化を取り入れた日本の時代劇が、ハリウッドでどうみられるのか楽しみでもあり怖い」と李監督。今年で3年目を迎えた映画祭を陰ながら応援してきたと言う渡辺は「私のホームタウンであるロサンゼルスでこの作品が上映できてうれしい。同じ時代を舞台にした作品でもまったく違う物に感じるでしょう。息苦しい映画かもしれませんが、どうぞ最後までお楽しみ下さい」と語った。上映後は満員の会場から温かい拍手が送られ、その後行われた観客との質疑応答でも、北海道を舞台にしたセットやキャスティングについて、イーストウッド監督が観た感想についてなど率直な質問が飛び交っていました。

 アメリカの一般人に日本映画や文化を浸透させ、日米相互理解を深めることをミッションに始まった映画祭では、今年も期間中、宮崎駿監督の「風立ちぬ」、山田孝之主演の「凶悪」、阿部サダヲ主演の「謝罪の王様」など長編12作品、ショートコンペ6作品が上映され、多くの地元の人々で賑わっていました。

 今年のカンヌ映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞した「そして父になる」がスティーブン・スピルバーグ監督率いるドリームワークスでリメークされることが決まるなど、アニメ以外の日本のコンテンツにも注目が集まっている中、ドラマ「HEROS」などで知られる日本人俳優マシ・オカによる「日本のコンテンツを米国の観客にいかに届けるか」についてパネルディスカッションも行われました。

 今年はヒュー・ジャックマン主演の「ウルヴァリン」が日本ロケを敢行した他、日本の怪獣を題材にした「パシフィック・リム」も公開。さらに「風立ちぬ」がアニメ界のアカデミー賞と言われるアニー賞で長編アニメーション賞を含む3部門にノミネートされた他、米ニューヨーク映画批評協会の最優秀アニメ賞、ナショナル・ボード・オブ・レビューでアニメーション映画賞に選ばれるなど、日本や日本のコンテンツへの注目はますます高まっています。この映画祭を通じて、より多くの日本映画やクリエーターたちの才能がハリウッドの関係者の目に留まり、日本映画の発展につながることを願っています。

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