アーティストやアイドルの子たちにトークレッスンをする中で、「体験談を話したくても、語彙力がない…」「感想が思いつかない」という相談もよく受けます。先生に聞いても「本を読みなさい」でおしまいだった、なんて子もいます。本は読めば読むほど良いと思いますが、本を読まない子はお手上げなのかといったら、そんなことはないです。私がオススメしているのは「NGワードゲーム」。私も新人の頃先輩に習った方法です。

ニッポン放送時代、生放送が終わりひと息の五戸です(2014年9月、スタジオで)
ニッポン放送時代、生放送が終わりひと息の五戸です(2014年9月、スタジオで)

トーク編⑨「NGワードを作る」

 【前回までのあらすじ】インタビューは芸能でも一般でもよくある形式。失敗や体験のエピソードを話せると強い。

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 テレビ番組「王様のブランチ」で、NGワードを言ったらお買い物のお小遣いが減る、というコーナーがありますね。「何がNGワードかわかっていたら言わないのに」と思ったことありませんか? でも実は、NGワードとわかっていても言ってしまうのがNGワード。

ヤバイ、カワイイ、スゴイ、死にそう

 何も意識しないでしゃべっていると、同じ単語ばかり使ってしまうものです。ご飯がおいしくても「ヤバイ」、好きな子と目が合っても「ヤバイ」、先生に呼び出されても「ヤバイ」。はたまた、流行りの服も雑貨も「カワイイ」、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主人公・みくりも「カワイイ」、平匡さんも「カワイイ」。他には「スゴイ」とか、最近では良くても悪くても「死にそう」を使う若い子も多いですね。

 こういった現象は時代や世代が違っても起こります。いわゆる流行語ですね。決して使ってはいけないわけではないです。ないですが、使わないことにすると、他の言葉を考えるようになります。それがNGワードゲーム。ひとりでできる言葉遊びです。

京都タワーホテルで開催されたトークショーで司会を担当した五戸です(2017年2月)
京都タワーホテルで開催されたトークショーで司会を担当した五戸です(2017年2月)

意識すればボキャブラリーも豊かに

 たとえば、自分の中で「ヤバイ」を言ってはいけない言葉=「NGワード」に設定するとします。そしたら、ご飯がおいしかったとき「ほっぺた落ちそう」、好きな子と目が合ったとき「胸がキュンとした」、先生に呼び出されたとき「頭が真っ白になった」などなど、「ヤバイ」以外の言葉を考えるようになります。

 たくさん本を読んでも、自分の言葉にできなければトークの語彙は増えない…総理が「云々」を「でんでん」と言ってしまった、なんてニュースがありましたが(私も読み間違いはするので批判はできませんが)、普段から使っていないと、大事な時も、言葉は出てこないものです。

次々とNGワード作れば脳トレにも

 「ヤバイ」をNGワードにするのが慣れたら、また別のNGワードを作るのも良いですね。たくさん頭を使うので脳トレにもなります。あんまり考えすぎると疲れちゃうので、加減しながらトライしてみてください!(次回はトーク編⑩「滑舌レッスン」です)

本日のごのへの・ご・ろ・く

NGワードゲームは言葉狩りではなく脳トレです!


※「ヤバイ」「やばい」=やばいとは「危ない」「悪事がみつかりそう」「身の危険が迫っている」など不都合な状況を意味する形容詞や感嘆詞として、江戸時代から盗人や的屋の間で使われた言葉。1980年代に入ると若者の間で「怪しい」「格好悪い」といった意味でも使われるようになるが、この段階ではまだ否定的な意味でしか使用されていない。これが1990年代に入ると「凄い」「のめり込みそうなくらい魅力的」といった肯定的な意味でも使われるようになる。(「日本語俗語辞書」から抜粋しました)