劇団四季の専用劇場である四季劇場「春」「秋」(東京・浜松町)の2劇場が来年6月下旬から建て替えのため一時休館する。

 もともと、劇場が建つ敷地はJR東日本が所有しており、借地する形で1998年から劇場運営を続けてきた。今回、JR東日本が一帯の再開発事業「竹芝ウオーターフロント開発計画」の実施を発表。東京五輪開幕の20年春までに宿泊施設を含め高層ビルと5階建ての劇場棟などを建設する予定という。

 そこで、心配したのが「春」でロングラン中の「ライオンキング」だった。98年の劇場オープン以来、18年間にわたって上演を続けて、今年6月に東京公演で上演回数6000回を突破した。「春」「秋」の休館で、ロングラン記録もストップするのかと危惧したが、四季では品川区にある四季劇場「夏」に移して、ロングランを継続するとしている。「夏」では同じディズニーミュージカル「リトル・マーメイド」が13年からロングラン中だが、来年4月にクローズし、7月から「ライオンキング」のロングランが再開する。

 四季は前代表の演出家浅利慶太氏の強力な政治力もあって、国鉄、民営化後は各JRと連携。JRが所有する敷地に専用劇場を建設して「キャッツ」などのミュージカルを各地で上演した。駅から近い場所で公演することで、観客がそれぞれの鉄道を利用する相乗効果もあった。

 四季では、JR東日本が建設する劇場棟で上演活動を再開するが、具体的な時期・方法は未定という。四季は東京に「春」「秋」を含めて5劇場を持っていたが、20年春までは3劇場となるため、公演活動に支障をきたさないように、来年3月から8月まで神奈川芸術劇場で「オペラ座の怪人」を上演するほか、東京都心部では09年以来となる「キャッツ」上演も計画している。【林尚之】