◆国際市場で逢いましょう(韓)

 10日は母の日だった。6月21日は父の日。母の日に感謝の気持ちを伝えられた人も、そうでない人にも、父の日を前に、お勧めの1本を紹介したい。

 朝鮮戦争(50年から53年)で故郷を追われ父、妹とはぐれたドクスは、伯母を頼って釜山に移り住み、貧しい一家を裸一貫で背負う。弟が名門ソウル大に合格するとドイツの炭鉱に出稼ぎに行き、妹の結婚と伯母の露店を継ぐ資金が必要になると、ベトナム戦争(60年から75年)に技術者として出征。父に託された家族を守るため、進学の夢をあきらめ、けなげに生きるドクスの20代から70代を演じきった、韓国屈指の実力派ファン・ジョンミンの演技が評判を呼び、韓国歴代2位の大ヒットを記録した。

 作品を見て、日本と韓国との共通点を見つけた。日本では、終戦後に中国に残された残留孤児の身元を、報道機関を通じて公開調査する訪日調査“肉親捜し”が00年まで31回行われた。劇中に、韓国でも朝鮮戦争後、報道機関を使って肉親捜しをするシーンが出てくる。見終わった後、今の日本から忘れられようとしている「家族の大切な何か」を感じた気がして、両親に深く感謝した。【村上幸将】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)