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映画この一本

映画この一本

 洋邦問わず、日刊スポーツの映画担当記者がオススメ映画を紹介します。

ギャグシーンより心情描写が印象的

[2013年10月6日11時41分 紙面から]

◆R100(日)

 「未体験のリアル・ファンタジー・エンターテインメント!!」の宣伝文句に偽りはない。

 大森南朋演じる主人公は、家具店の店員=リアル。平凡というより地味すぎる彼が、うっかり入会したクラブ「ボンデージ」は1年契約の間、さまざな女性が客の日常生活を壊すように現れる=ファンタジー。彼が会社や道端で、突然現れた女性から蹴りやつば吐きなど、文字通り嵐のようにSMプレーを浴びせかけられる様に、最初は意表を突かれて笑ってしまった=エンターテインメント。大森が緊縛状態でロウソクを垂らされたり、ぶたれてもだえる姿など、なかなか見られるものではない。

 ただ、そんな見た目の奇抜さに踊らされていいのか…と見終わった後、首をかしげる自分がいた。激しくバカバカしいSMシーンより、むしろ家具店の店員が、病室で妻(YOU)に泣きながら語りかける義父(前田吟)の震える背中を見て、そっと病室を後にするシーンの方が、よほど印象に残っていたからだ。

 松本人志監督(50)は「コメディーを狙ってるのじゃなく違う世界、松本ブランドが出来てきたのかな」と語っている。独特な世界観を表現することを、重視しているのは間違いないだろう。ただ伏線が多く摩訶(まか)不思議な場面より、登場人物の心情風景を、丁寧に描いた場面の方が心に深く刺さった。変化球ではなく、直球で人の心を描いた松本映画を見たくなった。【村上幸将】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)

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