映画この一本
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90歳「ザ・日本のお母さん」演じる八千草薫
[2013年11月17日12時17分 紙面から]
◆くじけないで(日)
お年寄りを主人公にした、いわゆる「シルバー映画」が元気だ。「大介護時代」「ダブル介護」なんて言葉が生まれる昨今だからかと思いきや、海外からも「アンコール!!」など、ヒット作が生まれていることを考えると、世界的にもそういう流れがあるらしい。若者の映画離れが指摘される中、昔から映画を娯楽の1つと考えてくれる世代は、ありがたいだろう。とはいえ、世代間を超え見てもらいたい作品ではある。
90歳を超えてから、詩人として新たな人生を歩み始めた柴田トヨの激動の人生を振り返る。その「振り返り方」が実にスムーズだ。トヨが詩を書き始める「現代」を時間軸の中心に、キーアイテムや出来事から、タイムスリップしていく。ネットサーフィンで知識を深めていく楽しさに似ている。トヨの中年期、幼年期など、時系列は前後するが分かりにくさは感じない。
トヨを演じる八千草薫には、「ザ・日本のお母さん」としての風格が漂う。体は弱くなっていっても、しんは強くなっていくニッポンの女性を体現している。武田鉄矢は珍しく、ダメ息子役。ダメなのに憎めない男に味付けされているのは、武田の細かい表情の作り方や言い回し、何より人柄が醸し出すものだろう。
90歳を超えて出した詩集で話題になったのだから、もう少し詩そのものにクローズアップしてもよかったのかもしれない。まあ、それも重箱の隅をつつくような意見なのだが。【森本隆】
(このコラムの更新は毎週日曜日です)
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