◆神様はバリにいる(日)

 堤真一は変な人役が多い。最近秀逸やったんは、昨年の「土竜の唄」でやったクレイジー・パピヨンと思うけど、今回もかなり変な人をやってます。

 婚活ビジネスで借金まみれになった女社長の祥子(尾野真千子)が、逃亡先のバリ島で出会う日本人の男。みんなが「アニキ」と呼ぶ。いかにも変人やのに大富豪。祥子に金持ちになるコツを教えるけど…。

 ええかげんなヤツが、ある事件を機に突然覚醒し、ピュアな部分を残したまんま出世街道を突っ走る-。ありがちと言えばありがちで、ウソみたいな実話が原作らしい。「人生はドラクエや!」「失敗した時こそ笑え!」「幸せを循環させる」とか。ハウツー本にありそうな人生訓が矢継ぎ早に出てくる。はちゃめちゃな展開は、いかにも「デトロイト・メタル・シティ」の李闘士男監督らしい。何より、うさんくささ満点のアニキを、ナチュラルボーンな関西弁でムダなダジャレを連発する堤が演じたら妙にハマる。

 尾野のバックヌードっちゅうなサービスカットがちょっとうれしい。若者を10歳ほどはみ出した遅咲きの青春ムービー…って言うてええと思います。【加藤裕一】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)