プロ野球阪神タイガースを熱烈に応援する地元商店街に早くも「Vツアー計画」が持ち上がっています。先日、兵庫県尼崎市の「尼崎中央三丁目商店街(尼崎中央3番街)」で、「日本一早い阪神タイガース優勝祈願マジック点灯イベント」が行われました。通算15回目を迎え、いまやプロ野球開幕前の風物詩。商店主らは猛虎の12年ぶりのリーグ優勝後を見据えて、着々と計画を練っています。

 阪神尼崎駅から徒歩約5分。球団応援歌「六甲おろし」が流れる中、アーケードの天井には商店街のキャラクター「めでタイガー」が「日本一早いマジックボード」をぶら下げてせわしなく動きます。同商店街振興組合の寺井利一理事長(55)は言います。「阪神が好調だと『六甲おろし』を口ずさむ人が増え、負けが続くと『だれや、こんな歌、流しとんのは!』と怒る人もいます」。地元の人々にとって阪神の勝敗は生活の一部。勝つとお客との会話も弾み、勝ちが続くと財布のヒモもゆるむそう。

 同商店街の数々の阪神応援企画を手がけてきた寺井さんは「めでタイガー」の生みの親でもあります。「『めでたい』と『タイガース』を合わせて命名しました。ひねり? ありませんねん(笑い)」。

 柴田食料品店の3代目でもある寺井さんには今年から来年にかけて「めでたい」ことが続きそうな予感があります。金本監督の2年目を迎え「若手選手にメドが立ち、新加入の糸井選手も期待通りの活躍をしてくれている。12年ぶりのリーグ制覇の可能性は高い!」。すでにリーグ優勝後も視野に入れています。

 来年の夏には尼崎市の阪神尼崎駅南東の城址(じょうし)公園に尼崎城の天守閣が再建されます。尼崎市で家電量販店「ミドリ電化」(2005年からエディオン子会社)を創業した安保詮(あぼ・あきら)氏が「創業の地に恩返ししたい」と私財約10億円を投じて城を再建し、完成後には尼崎市へ寄贈予定。

 尼崎のシンボルとなる城の再建に地元活性化の期待も高まっています。「めでたいことは続くといいますからね。今年はリーグV、そして来夏には尼崎城の天守閣が完成。めでタイガー!」。

 ノリノリの寺井さんですが、すでに市側と話し合い、アイデアを交換しています。阪神尼崎駅から歩いて数分の「寺町」周辺には歴史あるお寺が集まり、城下町の面影を残した評判の街並みがあります。

 「尼崎城を見学後、ツアー客に甲冑(かっちゅう)などを着てもらい、寺町周辺を散策し、最後は商店街の『猛虎Vツアー』を楽しんでもらうプランです」

 アーケード内につり下げられている鳥居「参虎殿(さんこでん)」に参拝、頭上の「めでタイガー」のマジックボードを見上げ、商店街でショッピングを楽しんでもらう。最後はジェット風船を飛ばしてもらってもいい。来年、お城とセットにしたVツアー計画を実現させるための絶対条件は阪神の12年ぶりのリーグ優勝。「めでタイガー!」。寺井さんのアイデアはふくらみ続けています。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)