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宝塚 ~ 朗らかに ~

宝塚 ~ 朗らかに ~

 夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

「ダンスの花組」を自分色に/望海風斗

[2013年12月5日11時20分 紙面から]

21人若手のメンバーを率いて出演する望海風斗(撮影・加藤哉)
21人若手のメンバーを率いて出演する望海風斗(撮影・加藤哉)

 花組男役スター望海風斗が、瀬戸かずや、芹香斗亜、若手メンバー21人を率いて、宝塚バウホールで「バウ・ショーケース New Wave!-花-」(12~22日)に出演する。松あきらから、ダンスの名手の故大浦みずきさんら歴代花組トップが披露したナンバーを、新しい振り付けに変えてメドレー方式でつづる。

 「珍しい形ですね。ショーの連続。ダンスもけっこう、ありますし。22人出演で、2時間半ぐらいに」

 主題歌は新曲が用意されたが、ショーで使うほとんどの楽曲は過去の花組ナンバー。「ただ、今まで上演されたものを同じ形でやるわけではないので、新しいショーだと思って見ていただければ」と話す。

 望海はじめ、瀬戸、芹香の中心3メンバーにはそれぞれ、見せ場が用意され「クラシカル、新しい物、懐かしいテイストと、いろんな色が見られます」。望海は、出演22人の最上級生で、リーダーになる。「(バウ主演とは)違います。全然」。下級生の相談に乗りつつ、過去の映像作品も繰り返し見た。あらためて100周年へ重みを感じた。

 「もともと過去の作品を見ていたんですけど、先輩たちが作ってきてくださった物は今に続いている。私たちは背負うよりも、次につなげていきたい」

 中でも、大浦さんの出演作に心を揺さぶられた。高いプロ意識、圧倒的な技量を誇り、「ダンスの花組」として一時代を築いた希代のトップのパフォーマンス。「大浦さんがいらっしゃった時(のショー)は好きで見ていました。やっぱりすごい」。ダンスの花組と、呼ばれたゆえんを再認識し「そこはすごく意識しています。その期待に立ち向かっていきたいと思います」と力を込めた。

 春野寿美礼がトップ時代の作品には、望海が下級生だったころの映像もあった。「まだ下級生で、よく分かっていなかったことも、いま見直すと違う。映像の見方も変わっていますね。昔は、ただ格好いい! でしたけど、スターさんたちの個性の見せ方、お客さまの楽しませ方、そういったところを見るようになっています」とも言う。

 劇団100周年の来春は12年目。「入団前はもちろん、在団すればするほど宝塚が好きになる。そう思わせてくれる先輩方がたくさんいらした。この宝塚の良さを伝えられたら」。プレ100周年の今年を「充実していた」と振り返る。2月の「オーシャンズ11」では、敵役のベネディクトを好演し演技の幅を広げた。

 「今までと違う味の役をやらせていただき、発見もあって、成長できた気がします。役柄を自分の中に入れて、その人になって呼吸をするといいますか」

 来春退団するトップ蘭寿とむには、新人時代から指導を受けた。「自分がやりたいこと、なりたい方向を、はっきりさせて、自分を見せていきなさい」とかつて言われた言葉を今、思い出す。「来年は自分の色を濃く、いい意味での“臭さ”も出していきたい」。クールな顔立ち、さわやかな望海が、新たな色を掲出していく。【村上久美子】

 ☆望海風斗(のぞみ・ふうと)10月19日、神奈川生まれ。03年4月「花の宝塚風土記」で初舞台。09年「太王四神記」で新人公演初主演。10年「虞美人」では初の女役。同年、化粧品「PON’S」の広告キャラクターに同期の明日海りおらとともに選抜。今年は2月「オーシャンズ11」で敵役のテリー・ベネディクトを好演。同6月「戦国BASARA-真田幸村編-」で猿飛佐助、同8月「愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ多」でフランソワ・ド・パンジュ侯爵など。身長169センチ。愛称「だいもん」。

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