歌手松原健之(35)が11日、都内でデビュー10周年記念のファンイベントを行った。約700人の応募から当せんした80人を前に、「集まってもらって心苦しいような、うれしいような…。でも、後の方が強いかな」とあいさつしてからイベントはスタートした。

 ミニライブでは、デビュー曲「金沢望郷歌」や10周年記念曲「雪明かりの駅」「三日月が綺麗だから」など7曲を披露。「三日月-」は、喉頭がんで声帯を摘出した音楽プロデューサーつんく♂(46)が作詞を手掛けており、「今からみると、とても大事な時期に作詞を依頼していた」。闘病中にもかかわらず、快く記念曲を手掛けてくれたつんく♂に感謝した。

 ここまでの道のりを「つらい思い出もある」と振り返ったコーナーもあった。歌手になる前は、劇団前進座の舞台「旅の終りに」で歌手を目指す青年役として歌ってきた。「それが4年間で160回公演。歌手としてデビューができず、歌いたくてカラオケスナックに入り浸った日々もある。『そんなんじゃ歌手になんてなれないよ』と言われたこともある。なにくそ! と思ってやってきました」。

 デビュー当時から「奇跡のクリスタルボイス」と評判を呼んだ美声は健在だ。キャリアを重ねて円熟味を増している。