経済評論家岩本さゆみ氏が2日、TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食/一直線」(月~金曜午前5時)に電話で生出演した。パーソナリティーの生島ヒロシ(73)との共著「日本経済本当はどうなってる?」(青春出版社)が、この日出版された。
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が1日に会見してインフレに警戒感を示したことに、生島は「パウエルさんの会見を受けてマーケットがいろいろと動いてますね。どうなんですか」と質問。
岩本氏は「そうですね。FOMC(米連邦公開市場委員会)の金利そのものは据え置きということで、これは市場の予想通りだったんですけれども、パウエル議長は『次の政策が利上げとなる可能性は少ない』という発言をしました。それからですね、為替が動いているのはですね」と説明。
そして「多分、FRBはコロナ禍で米国債の保有額をどんどん増やしてきまして、それをですね、ここのところは縮小するというようなQT(量的引き締め=中央銀行の資産圧縮でインフレ抑制)をしてきたんですね。でも、その引き締めのペースを6月から緩めることも決定しましたよというアナウンスがありましてた。つまり、緩和的な措置になりますので、アメリカの金利は低下、株は上昇、ドルが下落、金は上昇という流れになっています。(1ドル)153円台なんですけれども、一瞬ですね152円の後半っていうところもあったので、もしかしたら今も介入が入っている可能性があるかも知れないです」と話した。
生島は「随分と今週騒がれまして、日銀が5兆円規模の為替介入したんじゃないかということなんですが、この辺、ちょっと詳しく教えていただきたいんですが」と質問。
岩本氏は「今のような円安の局面では、その円安の勢いを止めるためにドルを売って円を買うという介入を致します。おそらく4月のゴールデンウイーク中です。皆さまがお休み気分だったところで、日銀が160円を見た瞬間に、ドル売り円買い介入をしたんじゃないかと」と答えた。
先月29日には財務省の神田眞人財務官が「為替介入の有無については申し上げない」とコメントした。岩本氏は「神田さん、財務官はノーコメントと言って真偽のほどは分からないんですけれども。ただ、介入すると、その分、市場のお金がズレたりするんですね。で、それはどこを見ると分かるかというとですね、日銀が当座預金残高っていうのを毎日、公表するんです。けれども、その見通しがですね市場予想と5兆円ぐらいズレていたものですから。こんなに大きい規模の金額がズレるっていうことは、円買い介入を行ったんだなとみんな見てますということです」と明解に答えた。
その他、主要国の外貨準備はGDP(国内総生産)の何%か、日本はドル資産があるのに国の借金が強調される理由などについて説明した。
「日本経済本当はどうなってる?」では、日経平均株価が史上最高値を更新し、32年連続「対外純資産」世界一なのに、国民はその恩恵を感じられないのはなぜか、GDPが世界4位に転落、政府の借金1200兆円突破などについても説明。それほど悲観しなくていい理由や“生活は厳しいのに資産は世界一JAPAN”などについても言及している。
FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持つ生島が経済ニュースに関するさまざまな疑問を投げかけ、バブル到来を1年前に予想していた元為替ディーラーの岩本氏が回答。日本経済の「超」解説書となっている。生島は「私は素朴な疑問をぶつけているだけですが、岩本さんの解説が素晴らしい。小中学生でも分かる本ですよ」と話している。