阪急電鉄や宝塚歌劇団を創設した小林一三氏の生きざまを描いたNHKドラマ「経世済民の男 小林一三」(9月5、12日=午後9時、全国放送)の完成試写会が4日、同大阪放送局で行われた。

 ドラマでは、阿部サダヲ(45)演じる一三氏が転機を迎える場面に、効果的にだるまが登場。そのだるまは、宝塚歌劇団が初めて上演した作品に由来していた。

 劇団は1914年に「浮かれ達磨」「ドンブラコ」「胡蝶」を初演し、100年を超える歴史をスタートさせた。その演目のひとつが「だるま」だった。

 岡本幸江チーフ・プロデューサー(45)は「小林一三氏は夢見がちな面もあって、空想といいますか、そういった面も持ち合わせていたようです」と説明。そんなキャラクターを演出する上で「少女歌劇の第1回公演にもあった『だるま』を考えました」と話した。

 銀行に就職しながらも大成せず、何度も苦境に陥りながら、現在の阪急阪神グループの礎を築いた小林一三氏を、女性にだらしない場面も、持ち前の愛嬌(あいきょう)で演じきった阿部に、岡本プロデューサーは「想像以上、期待以上でした。少年のような無邪気さから、おじいちゃんまで、私の中では完全に一三さんとダブって見えました」と絶賛していた。