かつて吉本新喜劇で「新喜劇のやしきたかじん」と呼ばれ、長く大きい特徴的な鼻から「ポット」のギャグで大人気だった帯谷孝史(65)が16日、大阪市内で久々に記者会見の場に登場し、約16年の“空白”を語った。

 この日は、奈良健康ランドと吉本新喜劇の各シーズン恒例のコラボイベント「面白(オモロ)い秋みつけたキャンペーン」(10月3~11月1日)の発表会見に出席。99年に金銭トラブルから謹慎処分を受け、10年に本拠地・なんばグランド花月に復帰してから初めて、記者会見への出席となった。

 「テレビで俺(に似ている)ポットが絶滅寸前やってやってたらしく、おかげで家に1台届いた。今、そのポットは家に3台あって、俺入れたら4台や」

 会見に、新喜劇の舞台でも使ってきたタイガー魔法瓶製の“激似”ポットを持ち込み、往年のネタでわかせ、同キャンペーンでは、最も帯谷に似ているポットを持ち込んだ客には特典など、キャラクターをふんだに生かした発表となった。

 さらには、ポットは3台あるものの「嫁はおらへんけどな」と告白。帯谷は34歳のときに14歳下の女性と結婚し、3人の息子をもうけたが「結婚15年で追い出された」といい、離婚。30歳になる長男とは「もう12~13年は会ってない」そうで、いまだ連絡もないという。

 離婚の理由は「(指を立て)これ(女性問題)かな? 金かな?」と、思い当たる節は多いようで、ニヒルな笑み。破天荒なキャラクターそのまま、豪快な私生活で知られていただけに、離婚にいたった現実も「やむなし」と受け入れたようだ。

 ただし、金銭トラブルが波紋を呼び、99年に所属の吉本興業から無期限謹慎を言い渡され、新喜劇へ復帰するまでに約10年かかった。「その10年はなくてよかった」と語り、新喜劇時代の後輩が経営するエアコンクリーニングの会社で働き、生計を立てていた。今もその仕事を続けているが、新喜劇復帰から数年経て、10年には本拠地の新喜劇にも出演。本格的に新喜劇役者として再スタートを切っている。

 ただし、昨年1月に亡くなった歌手やしきたかじんさんと「復帰してからあいさつできていないし、会えなかった」と話し、それが「一番、悔やまれる」と声を沈めた。

 過去には、たかじんさんの代わりに番組出演したこともあり、たかじんさんも番組の中で、何度も帯谷さんをネタにしている。「倒れられてから、入院先を聞いたんですが、伺えなくて…」と話し、復活後の恩返しもかなわないままになったことを悔やんでいた。