テレビドラマの母親役などで親しまれた女優の加藤治子(かとう・はるこ)さんが2日午前7時7分、心不全のため東京都世田谷区の自宅で死去した。92歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。

 1937年、松竹少女歌劇団に入団。39年、東宝映画に移り、榎本健一らと共演した。後に結婚、死別した劇作家の加藤道夫らが結成した新演劇研究会に参加した。

 戦後は文学座で舞台「なよたけ」のヒロインなどで評価を得た後、劇団雲の結成に参加して「ヘンリー四世」などに出演。映画、テレビに活躍の幅を広げた。

 60年代の人気ホームドラマ「七人の孫」以降、穏やかな中にも強さを秘めた昭和の母親役などで人気を集めた。代表作に向田邦子さんのドラマ「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」、映画「花いちもんめ」「マルサの女2」「蔵」など。

 アニメ「魔女の宅急便」「ハウルの動く城」では声優を務め、近年は山田洋次監督の映画「おとうと」に出演した。

 99年に舞台「三婆」で菊田一夫演劇賞、2002年に「こんにちは、母さん」で紀伊国屋演劇賞などを受賞。02年、勲四等宝冠章。