20日に放送された人気ドラマ「下町ロケット」(TBS)最終回は、平均視聴率(同調べ)22・3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、今年の民放ドラマ最高を記録した。また瞬間最高視聴率が25・8%(同調べ)だった。

 絶好調の要因に、さまざまな「仕掛けの成功」が挙げられる。主な仕掛けをまとめた。

 ◆ナレーションは元NHKの松平定知氏(71) 「その時歴史が動いた」などで知られる松平氏の重厚な語りが、企業ドラマに重みを持たせた。民放キー局は初登場。

 ◆配役の妙 大企業帝国重工の部長役に吉川晃司を起用。吉川のロマンスグレーに染めた髪形と抑えた演技は新たな境地と話題となった。「ガウディ編」では、ライバル会社の社長に小泉孝太郎を起用。阿部寛の本気泣きの熱い演技と対比させて悪役は好演。さらに帝国重工社長役の杉良太郎はいかにも重みを感じさせた。

 ◆救いの脚本 勧善懲悪のシナリオで日曜日の夜に明日への活力を与える内容は「半沢直樹」と同じパターン。ただ、不満を持って会社を辞めた社員が人工弁のきっかけになったり、設計図を盗んだ社員が最終的には佃製作所の危機を救うなど、立ち直りを用意。悪役の小泉孝太郎さえ、挫折を経て最後には技術者に復帰したことを示唆している。

 ◆落語家、芸人を起用 佃製作所の経理担当者役には立川談春。敏腕弁護士役に恵俊彰、大学病院の医師には今田耕司、データ偽装を告発する技術者にバカリズムと次々に起用し話題を振りまいた。さらに疑惑を追及するジャーナリストにフリーアナウンサーのアヤパンこと高島彩、ついには酒場放浪記の吉田類まで登場させた。