俳優船越英一郎(55)がホームレス役に初挑戦したことが11日、分かった。東出昌大(28)の主演映画「ヒーローマニア-生活-」(豊島圭介監督、5月7日公開)の中で、東出が演じる主人公が設立した警備会社の社長に祭り上げられる路上生活者を演じた。

 リストラされてホームレスになったという設定で、無精ひげにボサボサの頭が印象的。肌は黒ずみ、穴の空いたボロ布の服を身に着けている。指の爪の間には真っ黒な垢(あか)が詰まっている。撮影現場で手を差し出された東出が、思わず後ずさりしてしまうほどのなりきりぶりだった。

 民放5局の全てで「2時間ドラマ」主演歴があり、「2時間ドラマの帝王」とも呼ばれているが、映画出演は13年「県庁おもてなし課」以来3年ぶり。ドラマでは、刑事や教師など小ぎれいな役が多く、私生活でも、大好きな革製品をプロデュースした店をオープンさせるなどファッションにこだわりを持つが、今回は文字通りの「汚れ役」。「自分のキャリアでも多くないタイプの役柄なので、新しいチャレンジに高揚感と期待感があります」と、台本を読んで出演を即決したという。ひげや衣装などは自分で豊島監督に提案し、設定にのめり込んで撮影現場に立った。

 石田雄治プロデューサーは、船越の起用について「ひとクセあるホームレスという難しい役柄なので演技力が必要でした」と話す。その怪演ぶりについても「ホームレスという役をとても楽しんで演じていたようだった」と振り返った。