吉本興業の大崎洋社長(62)が25日、大阪市内で、立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)との連携協力を発表し、席上で芥川賞を受賞したピース・又吉直樹の小説「火花」について、外国語版を出版する考えを明らかにした。

 同大学には日本以外にも、83カ国・地域の生徒がおり、世界で活躍する人材が育成されている。アジアを中心に海外戦略を深める吉本は、同大学とタッグを組み、新たな人材発掘・育成に力を注ぐという。

 その連携協力のプロジェクト例として「ベストセラー小説の翻訳や意訳、漫才を各国に広める施策などを課題に学術的に研究していく」ことを掲げており、大ヒットした「火花」もその対象となる。

 大崎社長は、これについて「(火花の)翻訳という可能性も当然あります」と言及。その上で「火花がヒットして以降、いくつかの大手出版社から『吉本さんのタレントさんで、エッセーを書いてみようとかいう方はいませんか』とおっしゃっていただくようになった」と続けた。

 第2、第3の「火花」を目指しての動きがあることも明らかにした。

 また、同じく日本文化を紹介する上で、大阪文化の象徴は「漫才」であることから「漫才のハウツーになるような漫才ドラマを作り、世界でかけ(上映し)ていきたい」とも話した。

 吉本ではすでに台湾、タイ、インドネシアなど、アジア各国に芸人を駐在させる「住みます芸人」システムを敷いており、各国とのパイプも築きつつある。

 海外展開にも積極的に動いており、大崎社長は「将来的な私の夢としては、なんばグランド花月でのカウス・ボタンの漫才、桂文枝の創作落語を瞬時に(各国の言葉の)字幕を出して、世界にお笑いを広めたい」と話した。

 同大学には、現在、約3000人の留学生がおり、すでに約1万3000人の卒業生を送り出している。吉本は今後、同社社員の講演や、同社職場でのインターンシップ、映画祭(沖縄国際映画祭、京都国際映画祭)、日本コンテンツの翻訳や海外向け編集など、同大学と連携してプロジェクトを進める。