俳優藤岡弘、(70)が19日、大阪市内で主演映画「仮面ライダー1号」(3月26日公開)をPRした。

 仮面ライダーシリーズの「45周年記念超大作」として、伝説のライダー1号、本郷猛を主役にすえる。オールドファンには「イコール本郷猛」とも言える藤岡は企画から参加した。「原点をいま一度、見据える必要があると思った。訴えたいのはただ1点、命の大切さ、すばらしさだけです」と熱弁を奮った。

 テレビでシリーズが始まったのは1971年。仮面ライダー1号は、秘密結社ショッカーの改造人間として誕生した。「改造人間である悲しみを背負うキャラクターを通じ、愛、正義、勇気を表現したかった。今回はそのライダー魂を子どもたちに伝えたい。当時を知るお父さんたちが一緒に見て、命の尊さを家族で語り合ってくれたら、うれしいです」。

 1965年の芸能界デビューから、キャリアは50年を超えた。その間、俳優としてだけでなく、ボランティアも含めて世界約150カ国を回った。「本当に悲惨な現場を見てきた。嫌でも命の尊さを体中で感じてきた」という。一方で主要な新聞、週刊誌、ベストセラーすべてに目を通す日々を送ってきた。「あまりにも悲しい事件が多すぎる。自殺者の数も…」と言い、今回の作品に自分なりのメッセージを込めた。

 今回の本郷猛、仮面ライダー1号について「だから、演じてないです。今の自分を投影しただけ。僕は武道家の息子として生まれた。侍魂を持って、生きている。つまり仮面ライダーは“サムライダー”なんです」と説明する。

 作品中のアクションはいい意味でアナクロだ。共演の“平成ライダー”の仮面ライダーゴースト、スペクターが多種多様な武器、技を繰り出すのに対し、ライダー1号は武器を持たず、必殺技は「ライダーパンチ」「ライダーキック」だけ。70歳の藤岡は実際に1800CCのバイクを乗りこなし、武骨な演技を見せる。体を張った存在感は45年前と変わらない。

 体重は日々の鍛錬で83キロを維持。45年前から約10キロ増えたが、それは“筋肉太り”だという。「自分を今も必要と思ってもらえるのが、うれしい。また仮面ライダーがみなさんの記憶に、思い出として残っているのが、本当にうれしい。アクション? やればできますよ。米国の俳優を見てください。スタローンは69歳で僕とほぼ同じ。ブルース・ウィリス、リーアム・ニーソンも60歳を超えているのに、ちゃんとやってるじゃないですか」。笑顔で健在ぶりをアピールしていた。