不倫騒ぎを起こしたタレントを起用したことでCMが放送中止になった日清食品「カップヌードルリッチ」が、かえって話題を呼んで、売り上げを急激に伸ばしている。

 CMは、不倫で騒がれた矢口真里(33)らが出演し、3月30日から放送された。矢口は「2兔を追うもの、1兔も得ず」と自虐的なメッセージを送ったが、ネットで「不謹慎だ」などと批判され、日清食品は「ご不快な思いを感じさせる表現があり、深くお詫びします」と今月8日までにはCMを中止してしまった。

 新商品は、カップヌードル発売45周年を記念した「カップヌードルリッチ」で、フカヒレスープ味とスッポンスープ味の2種類。高級感をアピールし、価格も普通のカップヌードルより50円高い230円。同社はメーンキャラクターにビートたけし(69)を起用し、一般紙に全面広告を打つほど力を入れていた。

 カップヌードルリッチは11日から販売がスタートしたが、CM中止で売り上げに暗雲が漂うか、と思いきや「発売わずか3日で、ラーメン売り上げベスト5に2種類ともランクインしました。異例の売れ行きです」と大手コンビニも驚くほどだ。

 年間700食は食べるインスタントラーメン評論家の大山即席斎さん(57)は「フカヒレのコリコリ感、とろみのある豊潤な味わいは、新しいラーメンが生まれた感じがします。残念ながらスッポンスープを飲んだことがないので、こちらは本物と似ているか分かりませんが、リッチでしたね」と評価する。

 日清食品は「数字は公開していませんが、売れ行きは好調です。当社では毎年300種類の新商品を出していますが、ヒットするのは1%くらい。カップヌードルリッチがトムヤムクンのような定番商品になってくれたらと力を入れています」(広報担当者)と手応えを持っている。

 「今年発売されたラーメンの中ではトップクラスの出来栄えです。日清としてはホームランバッターを作るつもりだったはずで、CM中止が話題になって、かえってラッキーだったでしょう」と大山さんは話している。