10月スタートの次期NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の主要キャストが16日、NHK大阪放送局で発表され、芳根京子(19)演じるヒロインの母親役は、女優菅野美穂(38)に決まった。

 昨年8月、俳優堺雅人との間に第1子となる男児を出産した菅野は、放送中の日本テレビ系「お迎えデス。」で、出産後初ドラマに出演しているが、今回は、朝ドラヒロインの母親役。本格的に女優復帰の道を固めていくことになる。

 おりしも、夫の堺は同じNHK制作の大河ドラマ「真田丸」に主演しており、夫婦でNHKの2大ドラマ出演することに。これについて感想を求められると、菅野は、プライベートにまつわる質問NGのため制止しようとしたスタッフを振り切り「大丈夫…ですかね? じゃ、真田丸にひっかけて、『黙れ、小童!』」と、ウイットを効かせた返しでわかせた。

 「黙れ-」は、真田丸の劇中決めゼリフで、西村雅彦演じる戦国武将が、真田信之を叱責(しっせき)する場面で毎回、おなじみになっており、セリフ入りせんべいも発売されるなど、注目されるセリフのひとつ。その言葉を引き合いに、女優本格復帰への意気込みをしたためた形だ。

 番組の三鬼一希制作統括(47)によると、菅野演じるヒロインの母は「放送スタートから割と早くに亡くなる」といい、ドラマではヒロインが9歳のときに死亡する。母親役としての出演は短いが、年間を通じて、語りを担当することも発表され、三鬼氏は「母親目線で母性を表現してもらえると思う」と話した。

 ドラマは、子供服専門店「ファミリア」の創業者をモデルに、戦前から戦後、高度成長期を生き抜くヒロインの姿を描く。母親としての強さ、優しさ、大きな愛をテーマにした作品でもあり、ママになった菅野が「語り」の適役と判断し、同局では「ヒロインのオーディションと同時期ぐらい、けっこう早めにオファーし、快諾を頂きました」と話している。

 実際にも母になり、母役で出演する当の菅野は、95年後期「走らんか!」で、実質的な“ヒロイン”を務めた経験があり「あれから20年の時を経て、母親役がめぐってきました。時の流れにがくぜんとしておりますが、走りきってやろうと思います」と語った。

 育児、家庭と女優業の両立には「はい、じょじょに…」とニッコリ。今作のヒロインを務める芳根には「自分でも自分が(ヒロイン)坂東すみれなのか、芳根京子なのか分からなくなってくると思うけど、それが朝ドラ。今の自分にしかできない経験だと思って、演じてください」とアドバイスを送った。

 また、ヒロインの祖母役で、大ベテラン中村玉緒(76)が出演。玉緒も、芳根に「すっごい朝から晩まで(仕事)だから、1週間のうち1日はしっかり休んで」とメッセージ。「なんぼでもNG出してええから。私は昔、毛布と寝間(布団のような敷くもの)を持ってきて、いつでもどこでもごろっと(合間に)寝てた。新幹線でも起きてたことないぐらいやからね」と励ましていた。

 この日、発表されたほかのキャストはヒロインの父親役で生瀬勝久、姉に蓮佛美沙子。高良健吾、名倉潤、谷村美月、「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子、土村芳さんも会見に出席し、ヒロインの家に出入りする靴屋の主人役で市村正親も出演する。