「イングロリアス・バスターズ」(09年)などで数々の作品でイヤな奴を演じ、”悪役俳優”としてその名をとどろかせてきた名優クリストフ・ヴァルツ(59)。全米で公開するやいなや、大ヒット1位を記録した大作「ターザン:REBORN」でもターザンの前に立ちはだかる悪役を熱演。今最も世界から愛される悪役、クリストフ・ヴァルツがこれまで演じてきた”イヤな奴”たちを振り返りながら、今回彼の魅力を徹底解剖したい。

◆「イングロリアス・バスターズ」(09年):ハンス・ランダ親衛隊大佐(冗舌で頭がキレるイヤな奴)

ヴァルツが悪役を演じ、ブレイクするきっかけにもなった本作では、冷酷だが非常に頭の回転が速い”史上最強の悪役”を言わしめた「ユダヤ・ハンタ-」、ハンス・ランダを熱演。当時、まだ無名だったヴァルツを悪役に抜てきしたのは、あのクエンティン・タランティーノ監督。オーディション会場で一目見た瞬間に「この男しかいない!」と直感したという。脇役ながらも、どこまでもあくどく、言葉や表情だけで恐怖心を与える迫力ある芝居は、主演のブラピ、そして映画までをも「食って」しまうほどのもの。まさに、ヴァルツ演じる“イヤな奴”の代表格的なキャラクターと言っても過言ではない。

◆「おとなのけんか」(12年):アラン・カウワン(空気が読めず話をややこしくしていくイヤな奴)

子ども同士のケンカを解決するため集まった2組の夫婦が、それぞれに抱える不満や本音をぶつけながらバトルを繰り広げるさまを描いた本作。ヴァルツ演じるのは、弁護士で常に携帯を肌身離さず持っているという男アラン。社交的な物腰でお互いの立場を尊重しあいながら話を進めていたものの、次第にアランへのひっきりなしにかかってくる電話で空気が一変。その後も空気の読めない発言や、傍若無人な振る舞い、そしてどんどん話をややこしていくアランに、観る者たちのイライラが止まらない!

◆「007 スペクター」(15年):フランツ・オーベルハウザー(思わずぶん殴りたくなるほどのイヤな奴)

大ヒットシリーズである「007」シリーズでは、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドの前に立ちはだかる悪の組織スペクターの首領を演じた。もはや悪役を演じさせれば右に出る者はいない、と言っていいほどに悪役が定着してきているヴァルツの抜てきに、ネットでは公開前から期待の声が続出するほど!冷静沈着で悪賢い”悪の親玉”を演じきっており、人の神経を逆なでしたり、時には不敵な笑みを浮かべるオーベルハウザーに、『ぶん殴りたくなった』との声が続出。

◆「ターザン:REBORN」(7月30日日本公開):レオン・ロム(最新作でもやっぱり悪賢い!安定のイヤな奴)

最新作「ターザン:REBORN」でも、ヴァルツが演じるのはやっぱりイヤな奴だった!本作は、全てを手に入れた英国貴族として豊かな生活を送るターザンが、ある日外交を理由に再びジャングルへ戻るというストーリー。そんなターザンに数々の巧妙なわなを仕掛け、故郷を侵略し、妻であるジェーンを人質にとり、ターザンをおびき寄せようとするのが、ヴァルツ演じるロムだ。これまで振り返ってきたように悪役に定評のあるヴァルツだが、その役作りについては「いつも自分自身から引き出すものだよ。気づかないうちに」と振り返りつつ、「僕は自分が知っていることに固執するんだ。テキスト(せりふ)を分析して、語られるストーリーを(観客が)経験できるようにするために、僕に何が出来るかを考えてみるんだよ」と語っている。【ハリウッドニュース編集部】