俳優福山雅治(47)が住む都内の自宅マンションに侵入したとして、住居侵入罪に問われた無職宮本万里子被告(48)の初公判が8日、東京地裁で行われた。検察側は「犯人がコンシェルジュと聞いて恐怖を覚えた。懲役刑を受けてほしい」とする福山の調書内容を読み上げ、厳罰を求めたことを明らかにした。妻で女優の吹石一恵(33)が帰宅時に被告と鉢合わせになったこともあり、怒りをにじませたようだ。被告は起訴内容を認め、検察側は懲役1年を求刑し、結審した。

 コンシェルジュの職務を悪用し、合鍵で自宅に侵入した宮本被告に対して、福山は実刑を求めた。

 検察側の冒頭陳述によると、「犯人がコンシェルジュと聞いて恐怖を感じた。事件前と同じ生活ができなくなった。妻も不安を感じている。キチンと懲役刑を受けてほしい」と供述したという。被告が吹石と鉢合わせしただけに、「もし妻に襲いかかっていたら」という恐怖と怒りが、コメントからにじみ出た。

 吹石は、事件の詳細を警察に説明し、調書に残していた。「帰宅したら部屋の鍵が開いていた。知らない人が出てきて、『すみません、違いますから』と、私の横を通り抜けた。私がエレベーターまで追いかけて、『どなたですか』と聞いたら、その人は『すみません、大丈夫です』と逃げた。怖い思いをした。今も不安な日々を過ごしている」と話したという。

 検察側は、被告が福山のファンで、コンシェルジュとして勤めるうちに、部屋で私物を見たいと考えるようになったと指摘。「勤務中に夫妻の留守を確認し、帰宅後にサングラスや帽子をかぶってから、合鍵で部屋に入った」と述べた。

 被告は、白の長袖シャツに紺色パンツの姿で出廷。被告人質問で「衝動的に福山さんのギターを見たい気持ちが高まった。たくさんの人に迷惑を掛け申し訳ない」と涙声で謝罪した。

 冒頭陳述によると、09年に福山のファンになり、福山の曲をギターで弾くようになった。ファンクラブにも入会し、テレビ局などの前で15、16回、出待ちをしていたという。13年に福山の自宅マンションの近くに引っ越し、昨年に靴販売の仕事からコンシェルジュに転職。「コンシェルジュを始めてから福山さんが住んでいることを知った」と話したが、福山に近づくために職を変えた疑いもある。

 検察側は悪質な犯行として懲役1年を求刑。弁護側は「暴行や窃盗などはなく実害は少ない。関係各所に謝罪文を送っている」などとして執行猶予を求め、即日結審した。判決は28日。

 ◆事件VTR 5月6日午後8時ごろ、宮本被告は東京都渋谷区のマンションでコンシェルジュの仕事を終えた。帰宅してサングラスなどで変装。再びマンションに戻り、合鍵を使って複数のオートロックを解除し、同25分ごろに福山宅に入った。台所まで進んだところで、吹石の帰宅に気付いた。「違いますから」などと言って逃走。部屋にいた時間は約4分間だった。長い髪をショートヘアにして、翌7日以降も勤務。マンションの防犯カメラなどから被告が浮上し、同22日までに逮捕された。

 ◆コンシェルジュ 外来語でフランス語の「concierge」から。共同住宅の管理人の意味。ホテルで宿泊客の求めに応じて道案内やレストランの紹介、チケット手配などをする従業員も指す。観光案内所や駅、百貨店、病院でもコンシェルジュが増えている。