歌舞伎俳優市川春猿(45)が来年1月に劇団新派に入団、河合雪之丞と改名することを27日、都内で行われた会見で発表した。

 東京・三越劇場の初春新派公演「華岡青洲の妻」(来年1月2日初日)が、新派入りして初めての舞台となる。春猿は「退路を断って新派に入団させていただきます」と決意を語った。

 雪之丞は、師匠の市川猿翁(76)が薦めてくれたという。名字は、明治から昭和初期に活躍した新派の名女形、河合武雄から取った。屋号は白兎屋となる。

 今年1月、新派入団の決意を猿翁に伝えた時を振り返った春猿は「『大賛成だ』としっかり言ってくださったのがすごくうれしかった」と目に涙を浮かべた。

 これまでも何度も新派の舞台に出演していた春猿は「新派には女形が魅力的な作品がたくさんある。洗練され、そぎ落とされたお芝居に魅力を感じている」と話した。

 猿翁はコメントも寄せ「雪之丞という名前は、かつて私が名乗ろうと1度は心に決めた大切な名前です。これからも私の弟子として、常に全力で取り組んでほしいという思いを込めて薦めました。一心に新派の継承、発展に励んでほしい」と激励した。

 会見には新派の水谷八重子(77)波乃久里子(70)も出席、水谷は「いろんな夢を見させていただけるのでは、と楽しみにしています」、波乃も「新派のすばらしい柱になっていただきたい」と話した。

 今年1月には、同じ沢瀉屋一門から、喜多村緑郎(当時の市川月乃助=47)が新派に入団した。