16年は元横綱千代の富士、ラグビーの平尾誠二さん、大橋巨泉さん、蜷川幸雄さん、永六輔さんなど各界の代表する人の訃報が相次ぎ、大きな衝撃を与えた。プリンスさん、デビッド・ボウイさんなど世界的スターもこの世を去った。16年に亡くなった主な著名人を1月から振り返る。

<1月>

落語家桂春団治さん

 戦後の上方落語復興に尽力し「上方四天王」に数えられた3代目桂春団治さんが9日、心不全のため死去した。85歳だった。四天王のうち、6代目笑福亭松鶴さん、5代目桂文枝さんに続き、昨年3月には人間国宝だった桂米朝さんが亡くなっており、上方最後の大看板だった。繊細で華麗な語り口、色気あふれる高座で人気を集めた。

ジャーナリスト竹田圭吾さん

 ジャーナリストの竹田圭吾さんが10日、すい臓がんのため死去した。51歳だった。「ニューズウィーク日本版」編集長として活躍し。フジテレビ「とくダネ!」や「Mr.サンデー」にコメンテーターとして出演していた。

ロック歌手デビッド・ボウイさん

 英国の人気ロック歌手デビッド・ボウイさんが10日、がんのため死去した。69歳だった。映画「2001年宇宙の旅」をモチーフにしたアルバムが大ヒットし、一躍スターダムに。米誌が選ぶ「史上最も洗練されたミュージシャン」で1位に輝くなど、世界で名声を残した。83年の映画「戦場のメリークリスマス」では主演を務め、ビートたけしらと共演した。

<3月>

元サッカー選手ヨハン・クライフさん

 サッカーの元オランダ代表の伝説的な名選手で「空飛ぶオランダ人」の異名を取ったヨハン・クライフさんが24日、肺がんのため死去した。68歳だった。現役時代に「トータル・フットボール」と呼ばれた革命的な戦術を体現し、引退後は指導者として世界最強軍団バルセロナの礎を築いた。

<4月>

歌手プリンスさん

 米国の人気歌手プリンスさんが21日、鎮痛剤の過剰摂取で死去した。57歳だった。82年のアルバム「1999」が大ヒットしてブレイク。黒人アーティストとしてマイケル・ジャクソンさんと比較されることも多かった。アルバム・シングルの総売り上げは1億5000万枚にのぼり、7つのグラミー賞を受賞した。

タレント前田健さん

 お笑いタレントの前田健さんが26日、虚血性心不全のため死去した。44歳だった。歌手松浦亜弥さんの物まねなどで人気を博した。

<5月>

演出家蜷川幸雄さん

 世界的な演出家蜷川幸雄さんが12日、多臓器不全で死去した。80歳だった。60年代に俳優から演出家に転向し、国内外180本以上の舞台を演出した。多くの舞台人が蜷川演出の洗礼を望み、数々の海外公演も成功させるなど、世界的にも高い評価を得ていた。

<6月>

元ボクサーのムハマド・アリさん

ボクシングの元世界ヘビー級チャンピオンのムハマド・アリ氏が3日、死去した。74歳だった。日本では76年にアントニオ猪木との異種格闘技戦で大きな関心を集めた。自身を「グレーテスト(最も偉大)」と称するなど強烈な個性で知られ、黒人差別撤廃の公民権運動でも積極的に発言した。

女優白川由美さん

 映画やテレビドラマで幅広く活躍した女優白川由美さんが14日、急性心不全で死去した。79歳だった。4年前に夫の二谷英明さんが死去。清らかで品の良い女性がはまり役だった。

<7月>

作詞家、放送作家の永六輔さん

 大ヒット曲「上を向いて歩こう」の作詞、放送作家、ラジオパーソナリティーや、ベストセラー「大往生」でも知られる永六輔さんが7日、肺炎のため死去した。83歳だった。ラジオパーソナリティー、作詞家、文筆家などさまざまな顔を持ち、放送作家としてテレビの黎明(れいめい)期に貢献した。

タレント大橋巨泉さん

 「11PM」「クイズダービー」など人気番組の司会者として親しまれたタレントで元参院議員の大橋巨泉さんが12日、急性呼吸不全のため死去した。82歳だった。胃がんや肺がんを患い10年以上闘病生活を続けていた。番組でプロデューサー的役割も務め、豊富な知識、独創的な発想、当意即妙な受け答えで人気者に。「11PM」では当時テレビが扱うことがなかった競馬やマージャン、お色気も取り入れ、テレビの常識を覆した。

ピアニスト中村紘子さん

 日本を代表するピアニストとして活躍した中村紘子さんが26日、大腸がんのため死去した。72歳だった。60年にNHK交響楽団初の世界一周公演のソリストに抜てき。65年にショパン国際ピアノコンクールで日本人初の4位入賞を果たし、最年少者賞も受賞した。世界の著名コンクールの審査員も歴任。08年に紫綬褒章を受けた。

元横綱千代の富士

 大相撲の元横綱千代の富士の九重親方が31日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。61歳だった。「ウルフ」の愛称で親しまれ、史上3位の31回の優勝など昭和から平成にかけて一時代を築き、89年には角界で初めて国民栄誉賞も受賞。小さな大横綱として細身ながら、スピード、引き締まった体、眼光の鋭さなどで老若男女を魅了した。

<8月>

元西鉄の豊田泰光さん

 プロ野球西鉄(現西武)の黄金時代に強打の内野手として活躍した豊田泰光氏が14日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去した。81歳だった。鉄腕・稲尾和久、怪童・中西太の両氏らとともに「野武士集団」として、日本シリーズを3連覇した西鉄黄金時代の中心選手。引退後は解説者として活躍し、06年に野球殿堂入りを果たした。

<9月>

元広島の山本一義さん

 広島の外野手として活躍し、ロッテで監督を務めた山本一義さんが17日、尿管がんのため死去した。78歳だった。61年に広島入団、1年目から4番として、低迷するチームを引っ張った。

元ゴルフ選手アーノルド・パーマーさん

 米国ゴルフ界の“キング”アーノルド・パーマー氏が25日、心臓疾患による合併症のため死去した。87歳だった。50年代から活躍し、メジャー通算7勝を記録。ジャック・ニクラウス、ゲーリー・プレーヤーとともに「ビッグスリー」と呼ばれた。ゴルフコースの設計などビジネスでも成功した。

<10月>

俳優の平幹二朗さん

 俳優の平幹二朗さんが22日、死去した。82歳だった。連続ドラマにも出演中だったが、自宅浴槽で急死した。シェークスピア作品などの舞台でも活躍し、存在感ある重厚な演技と格調高いせりふ回しが魅力だった。

元ラグビー選手平尾誠二さん

 ラグビーのスター選手として活躍し、日本代表主将、監督も務めた神戸製鋼ゼネラルマネジャーの平尾誠二さんが20日、胆管細胞がんのため死去した。53歳だった。同志社大では史上初の全国大学選手権3連覇に貢献、神戸製鋼では日本選手権7連覇を達成。日本ラグビー界をけん引した。

吉本新喜劇の井上竜夫さん

 吉本新喜劇のベテラン俳優、井上竜夫さんが5日、高度肺気腫のため亡くなった。74歳だった。「竜じい」の愛称で親しまれ、「おじゃましまんにゃ~わ」のあいさつギャグなどで人気を博した。

<11月>

アナウンサー小川宏さん

 フジテレビ系「小川宏ショー」の司会を務めたアナウンサーの小川宏さんが、29日に多臓器不全のため死去した。90歳だった。お茶の間に朝の顔として親しまれた「小川宏ショー」は82年まで17年間続き、放送は4451回に達した。

<12月>

リポーター武藤まき子さん

 フジテレビ系「とくダネ!」の人気リポーターで「おまきさん」の愛称で親しまれた武藤まき子さんが5日、虚血性心不全のため死去した。71歳だった。芸能、歌舞伎、皇室などを担当するリポーターとして長年にわたり、情報番組で活躍していた。

吉本新喜劇の島木譲二さん

 「大阪名物パチパチパンチ」などのギャグで知られた吉本新喜劇の島木譲二さんが16日、脳出血のため死去した。72歳だった。糖尿病を患い、11年から治療に専念していた。

元巨人打撃コーチ荒川博さん

 元プロ野球巨人の打撃コーチとして、王貞治氏に「一本足打法」を指導した荒川博氏が4日、心不全のため死去した。86歳だった。61年に現役を引退し、その後、巨人でコーチを務めた。「荒川道場」と呼ばれた猛練習で、伸び悩んでいた王氏を一流の打者に育てた。

元巨人の加藤初さん

 巨人の投手として通算141勝を挙げた加藤初さんが11日、直腸がんのため死去した。66歳。76年に西鉄からトレードで巨人へ移籍。同年にノーヒットノーランを達成、巨人優勝に大きく貢献した。引退後は巨人、西武、韓国プロ球団などでコーチを務めた。