映画監督の白羽弥仁氏(52)が1日、大阪・中之島の日刊スポーツ大阪本社を訪れ、新作「ママ、ごはんまだ?」(2月11日公開)をPRした。作品は、歌手一青窈の姉で女優の一青妙によるエッセーを基にした、主人公・妙(木南晴夏)と窈(藤本泉)姉妹、母かづ枝(河合美智子)ら家族の愛や絆を料理を通して描く物語。「よいファミリー・ヒストリーが撮れましたので映画館で観ていただければ」と話した。

 映画では、家族を結ぶ台湾料理が見どころの一つだが、全編に登場する料理の数々は辻調理師専門学校が監修、白羽組の一員としてロケにも立ち会った。監督は「台湾料理を再現するとき、様々な香辛料を現地から取り寄せチェックした。一青妙さんにも味を確認してもらった」と、ひと皿ひと皿こだわり抜いた。豚足やちまきなど料理のシズル感が鑑賞者を刺激する。

 作品は日本・台湾の合作で現地でも公開される。監督にとっても映画での海外ロケは初体験となった。「1年前の今頃は隔週で台湾に行き作品を撮った。台湾のスタッフは何でも撮影当日になって準備する。日本との違いを思い知った」と苦笑い。活気ある台南市の屋台街や、東京、金沢と、主人公一家のルーツをたどるように風景を移しながら物語は展開する。特に町制10周年記念事業として、映画を支えた石川県中能登町は、一青家ゆかりの故郷として登場、「一青」と記載された道路標識も登場する。自然豊かな風景は台南の街の喧噪とは対照的だが、「美しい場所」と監督も目を細める。

 同作で主人公の母親役を演じた女優・河合美智子は、撮影から約半年後の昨年8月に脳出血で入院、その後の治療とリハビリに励み、1月10日に退院したばかり。「撮影後もキャスト陣に様々なことが起きた。(映画に出演している)春風亭昇太さんも笑点司会に抜てきされた」と驚きを隠さない。「限られた撮影時間の中でこれだけの作品ができたのは、出演者はもちろん、ずっと一緒にやって来たスタッフの力も大きい」と、名作「She’s Rain」(シーズ・レイン=1993年)当時からのスタッフも含めた白羽組に感謝した。主題歌「空音」(そらね)も一青窈が担当した。

 4日には全国に先駆け、石川県内で先行上映される。同日、イオンシネマ金沢フォーラス、ユナイテッド・シネマ金沢、シネマサンシャインかほくで初日舞台挨拶を実施。18日には大阪・第七藝術劇場でも舞台挨拶を行う。詳細は公式サイト(http://www.mama-gohanmada.com/)を参照。