第59回ブルーリボン賞(主催・東京映画記者会=日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画記者で構成)の授賞式が8日、東京・霞が関のイイノホールで行われた。

 「この世界の片隅に」で、アニメーション作品としては初の監督賞を受賞した片渕須直監督(56)は、キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・テン第1位と監督賞、読者選出日本映画監督賞や、ヨコハマ映画祭作品賞など受賞ラッシュが続く中、スーツを新調したことを明かした。

 (授賞式のたびに)あいつは着るものが、あれしかないのか? と言われて、実はこの間、1回クリーニングに出してしまいまして、新調して参りました。アニメーションの仕事をしていて、こんなにネクタイをする機会が訪れるとは思っていなかった。感謝しています。

 製作費を出資する企業を集めるための、パイロットフィルム制作のため、クラウドファンディングで一般から出資を募り、約3900万円を集めた。16年11月12日の公開初日時点での公開館数も63館と、小規模なインディーズ作品だったが、口コミで興行収入15億円を突破した。片渕監督は「お客さんたちが、お客さんたちを口コミで映画館に招いてくださって、それがたくさんのお客さんたちの力になって、僕がこんなところに立たせていただいています。ありがとうございます」と感謝した。

 その次の瞬間、「シン・ゴジラ」で作品賞を受賞し、壇上の椅子に座っていた樋口真嗣監督(51)の携帯電話が、けたたましく鳴った。これには片渕監督もビックリで、司会の大泉洋から「どうぞ、話を続けて」と促されたが「(あいさつは)終わった」と言い、苦笑した。【村上幸将】