東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7社で構成)が選ぶ「第59回ブルーリボン賞」の授賞式が8日、無事に終わりました。

 今はホッと胸をなで下ろしています。というのも、賞の運営幹事は7社の持ち回りとなっており、今年は日刊スポーツの担当だったからです。

 準備は1年かけて行います。運営費に見合った式の開催規模の設定に始まり、毎年1月に行う選考会の下準備、登壇者や映画関係者との出演交渉、受賞者のインタビュー設定、会場のイイノホールとの打ち合わせ、日本映画製作者連盟との打ち合わせ、加盟各社への連絡などなど…。「やることリスト」を挙げていったら、きりがありません。通常の取材活動を行いながらの、慣れない運営という業務。それでも、大きなトラブルもなく無事に終わったときには、本当に肩の荷が下りた思いでした。

 何といっても感謝したいのは、授賞式を最高に盛り上げてくれた司会の大泉洋さん、有村架純さんです。ブルーリボン賞の司会は、前年の主演男優賞、主演女優賞を受賞したおふたりにお願いするのが、ブルーリボン賞特有のおもしろい決まりでもあります。お互い多忙な中、しっかりと台本を覚えてきてくれ、つつがなく進行を務めてくれました。

 式では、ちょっとした仕掛けを用意しました。最初に発表された作品賞「シン・ゴジラ」の表彰で、受賞者の樋口真嗣監督のほかに、着ぐるみのゴジラを「スペシャルゲスト」として呼んだのです。すると司会の大泉さんがガッツリ食いつきます。ゴジラを触ると「なかなかのゴム感ですねぇ…」とぶっちゃけ、会場を笑いに包みます。さらに、鼻を近づけ「なかなかのゴム臭ですねぇ…」と畳みかけ、またまた爆笑。これで勢いに乗った大泉さん、なんと25分近くもしゃべり続けました。

 焦りました。この日、表彰する賞は9部門。式はだいたい1時間半での終演を予定していたのですが、大泉さんがフリートークで盛り上げることを想定し、ある程度の時間的余裕は考えていました。とはいえ、同じペースで進行すると、終演まで3時間以上もかかってしまう計算です。終演時間を想定して、式後に別の仕事を入れている登壇者もいました。私は舞台袖から、大泉さんに向けて人さし指をぐるぐる回しました。「巻き」、つまり、時間を短縮して進行してほしいというお願いでした。すると大泉さん、目を見開いて言いました。

 「衝撃の情報です。まだ1つ目の表彰なのに、スタッフから『巻き』の指示が出ました! 打ち合わせでは『自由にやってくれ』と言われたのに!」

 まさか裏方である私までいじってくるとは…。恐れ入りました。もちろん、客席からは大爆笑。うれしいやら、恥ずかしいやらでした。

 終演後、会場を後にするお客さんは、みんな笑顔でした。ちなみに授賞式はキッチリ1時間半で終了しました。さすがはプロ、さすがは大泉さん。恐れ入りました。