漫才コンビで親しまれ、ドラマや舞台で活躍した女優京唄子(きょう・うたこ、本名鵜島ウタ子=うじま・うたこ)さんが6日午前10時33分、肺炎のため大阪市内の病院で死去した。89歳。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は長女節子(せつこ)さん。

 京さんは1927年(昭2)7月12日、京都府生まれ。終戦直後、宮城千賀子の「なでしこ劇団」に入り、京町唄子の名で舞台女優に。19歳の時に同じ一座の役者と結婚し、1女をもうけるが離婚。当時は美剣士役で人気だった。56年(昭31)に故・鳳啓助さんと漫才コンビを組んで結婚。強気な京さんのツッコミに、鳳さんが「大口に吸い込まれる〜」「ポテチン」などとボケる絶妙の呼吸で「夫婦漫才の手本」と称された。「てなもんや三度笠」などのテレビ番組にも出演し、人気を博した。

 啓助さんとは65年(昭40)に離婚したがコンビは継続。69年(昭44)にフジテレビ系で放送開始の「唄子・啓助のおもろい夫婦」が高視聴率を記録するなど、息の合った芸を披露し続けた。鳳さんは94年に亡くなった。

 一方、60年代から女優として幅を広げ、映画やドラマに出演。関西弁をまくしたてる役どころが多く、人情味あふれる女性などを多彩に演じた。

 93年(平5)からはドラマ「渡る世間は鬼ばかり」にも出演。09年(平21)に車いす姿で会見を開き、腰椎(ようつい)変性すべり症の診断を受け、第3、5腰椎を圧迫骨折していることを明かし、腰の治療のために芸能活動休止を発表。「芸能生活64年、まさか自分がこんなことになるとは思ってもみなかった。本当に悔しい」と涙を流したが、翌10年(平22)に同ドラマに出演し復帰した。

 主な出演作は、テレビドラマ「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」「渡る世間は鬼ばかり」など。

 著書に自伝「花も嵐も踏みこえて」など。