広島市出身の被爆2世で、両耳が聞こえない作曲家として知られる佐村河内守(さむらごうち・まもる)さん(50)=横浜市在住=の「交響曲第1番

 HIROSHIMA」などの楽曲は、十数年前から特定の別の人物が作っていたと、佐村河内さんの代理人の弁護士が5日、明らかにした。

 フィギュアスケートの高橋大輔選手(27=関大大学院)がソチ冬季五輪のショートプログラムで使用予定の楽曲「ヴァイオリンのためのソナチネ」も、佐村河内さんの作曲ではないという。高橋選手は曲を変更しないと表明した。

 桐朋学園大非常勤講師の新垣隆さんが「佐村河内氏のゴーストライターを18年間にわたってやっていた」と公表、東京都内で6日記者会見すると発表した。

 レコード会社の日本コロムビアは、佐村河内さんのCDの出荷やインターネット配信を停止。佐村河内さんの全国ツアーを企画するサモンプロモーション(大阪市)は、ツアーの中止を決めた。

 佐村河内さんの代理人は「(作曲した側にも)作曲者として表に出づらい事情があると聞いており、佐村河内が自身を単独の作曲者と表記するようになった」と説明。佐村河内さんは言い訳のできないことと、深く反省しているという。

 公式サイトなどによると、佐村河内さんは4歳からピアノを始め作曲を独学。「バイオハザード」などのゲーム音楽を手掛けた。35歳で聴力を失った後も絶対音感を頼りに作曲を続けたという。

 被爆者への思いを込めたとされる「交響曲第1番」は、2008年に広島市で開かれた主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)の記念コンサートで披露された。CDはクラシック界では異例の10万枚以上の大ヒット。「現代のベートーベン」と呼ばれ、テレビや新聞で取り上げられた。