映画「小さいおうち」(1月25日公開)のPR会見が9日、大阪市内のホテルであり、山田洋次監督(82)主演の松たか子(36)共演の倍賞千恵子(72)が出席した。

 原作は中島京子の直木賞受賞作。山田監督がほれ込み、中島に手紙で映画化を直訴した。日本が戦争に向かう昭和10年代、山形から口減らしのため上京、お手伝いさんになったタキ(黒木華、晩年は倍賞)の目を通し、平井夫妻の妻時子(松)が夫の部下板倉(吉岡秀隆)との不倫に走る“恋愛事件”のてん末を描く。

 山田監督は「戦後生まれの中島さんが実に正確に戦前の東京を描かれていた。そんな時代に家族に起こった“大事件”を僕は描きたかった」とし、その先に「いろんな戦争映画はあるけど、この映画の時代に起こっていた人類の歴史を感じ取っていただければ」と語った。いわば山田流反戦映画になる。

 松は「タキちゃんに興味を抱かれて、板倉青年に好きになってもらう女性。どうしていいかわからず、周囲に“お願いします”という思いでした」と体当たりの演技だったと明かした。倍賞は「久しぶりの山田監督の作品。最初にスタジオを訪れた時、お茶を入れる手が震えている自分にビックリして、1度スタジオを出て深呼吸したぐらいです。とても素敵な作品に出合えました」と話していた。