昭和の歌謡史を彩った美空ひばりさん(享年52)の歌声が世界配信されることが6日、分かった。誕生日の今月29日、音楽などの再生ソフトiTunesの限定パッケージ「Best

 70+1

 SONGS」(1万円前後を予定)として、日本を含む22カ国で71曲のパソコンダウンロードが可能になる。これまでも、日本国内で携帯電話向けの配信はあったが、パソコン向けや海外への配信は初めて。

 きっかけは、昨年6月にハワイで行われた生誕70周年記念のフィルムコンサートだった。日系移民や地元の米国人、各国からの旅行者ら約5000人が、日本屈指のエンターテイナーの歌声に足を止めた。「生の歌を聴きたい」。口々に尋ねる人たちに「残念ながら、もうこの世にはいません」と、胸を詰まらせながら答えていたのが長男の加藤和也氏(36)だった。その時の経験から「歌は世界のあらゆる壁を越えて伝わる」と実感。海外への配信を決めた。

 71曲は生誕年に合わせた。デビュー曲「河童ブギウギ」(49年)や日本レコード大賞受賞曲「柔」(64年)、ミリオンヒットの「リンゴ追分」(52年)、病と闘いながら録音した最後のシングル曲「川の流れのように」など。約1500曲のレコーディング曲から代表作をそろえた。

 89年の死去から20年。「母の歌と心が、世界の方々に届くことを願ってやみません」と話す和也氏。「71歳の誕生日にふさわしいプレゼントになった。喜ぶ顔が目に浮かぶ」と、節目の年に実現できた親孝行に胸を熱くしている。