家族愛をテーマにしたデビュー曲「home」がヒット中で、4児の父親のサラリーマン歌手木山裕策(39)が、22日に手記「home」(光文社)を発売する。ビリー・ジョエルにあこがれた少年時代から、デビューまでを赤裸々につづった。

 歌手への夢を捨て、平凡な会社員生活を送っていた木山に転機が訪れたのは4年前。悪性腫瘍(しゅよう)の疑いから、のどの左側にある甲状腺を全摘出した。「最悪の場合、声が出なくなることがあります」。医師にそう告げられ、絶望のふちで心に沸いたのが「子供たちに、自分の歌声を生きた証しを残したい」という強い思いだった。無事に手術を終えた直後から夢を追い求める戦いが始まった。独自のリハビリで声を取り戻し、日本テレビ系のオーディション番組「歌スタ!!」へエントリー。1度落選した悔し涙を乗り越えて、今年2月のデビューにこぎ着けた。

 ポップスの分野で、40歳近いオヤジのデビューはきわめて異例。不惑の年を目前に夢をつかんだ木山は「あきらめずに、全力を尽くすことの大切さを子供たちに示せてうれしい」と話している。27日正午から東京・丸の内oazoで出版記念イベントを行う。