【ロサンゼルス26日(日本時間27日)=千歳香奈子通信員】25日に急死した米人気歌手マイケル・ジャクソンさん(享年50)が自宅で心不全とみられる症状で倒れた際、住み込みの心臓専門医師コンラッド・マーレー氏(51)が付き添っていたことが明らかになった。同医師はマイケルさんが意識を失う直前に鎮痛剤を注射し、最期をみとった人物とみられている。ロス市警察は死因のカギを握る人物として、詳しく事情を聴く方針。同医師は死亡診断書のサインを拒んでいるとの報道もあり、不信の声が上がっている。

 この日、検視局がマイケルさんの遺体解剖結果を発表。体に外傷はなかったが、毒物検査などによる最終的な死因特定には、6~8週間かかるとしている。検視を終えた遺体は、家族のもとに戻った。

 消防局はマイケルさん宅からの通報内容を公開した。異変が起きた時、マーレー医師だけが付き添っていたことが判明。救急隊の到着前に、蘇生(そせい)措置を行ったことも分かった。また、異変直前にマイケルさんに鎮痛剤デメロールを注射したと警察に話しているという。ロス市警は自宅から処方薬が入った容器や同医師の乗用車を押収。さらに、本格的に事情聴取する方針を示している。

 同医師は心臓病が専門。3年前からマイケルさんの主治医を務めていた。2カ月前に専属医として雇われ、マイケルさんの自宅に住み込んでいた。復帰公演の興行主は経費の問題で反対したが、マイケルさんの強い希望で了承したという。

 今年に入って、マイケルさんは整形手術による感染症や皮膚がんを患っていたと報じられた。強力な鎮痛剤オキシコンチンの依存症ともいわれ、他の鎮痛剤とともに毎日服用していたことも明らかになった。検視局もマイケルさんが処方薬を使用していたことを確認しているが、薬物の種類は明らかにしていない。一方、担当弁護士は復帰公演に向けた練習で何度か負傷し、薬物治療を受けていたと証言。「薬物使用を不安に感じて、心配していた」と日常的な薬物の過剰摂取を指摘した。マイケルさんは医師を雇うことを「自分は機械で、機械には油をさし続けなければならない」と説明していた。

 一方、同医師はクレジット会社から訴えられるなどの過去があるという。友人プロデューサーは「いかさま医師のせいで死んだ」と話している。復帰公演の興行主は万一の中止に備え、マイケルさんに保険を掛けていた。完売のチケット払い戻しなど経費問題が取りざたされている。過度の薬物摂取などで死亡した場合は、そうした経費に対する保険金が支払われない可能性もある。地元報道では、同医師が死亡診断書へのサインを拒否しており、不信感を持つ者も出ているという。世界中が今、同医師に注目している。

 [2009年6月28日9時26分

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